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» 2014年05月19日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:ビッグデータを活用するのは誰なのか

富士通が先週発表したビッグデータ関連ソリューションは、ビッグデータを活用するのは誰なのかについて考えさせられるものだった。

[松岡功,ITmedia]

富士通が新ソリューションを発表

 富士通が5月13日、企業の営業部門や経営戦略立案部門などの業務部門が自らビッグデータを活用し、マーケティングの高度化や業務プロセス変革などを実現するビッグデータ利活用ソリューション「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics」を6月から提供開始すると発表した。

発表会見に臨む富士通の川妻庸男執行役員常務CTO&CIO(右)と今田和雄執行役員インテグレーションサービス部門アプリケーション事業本部長 発表会見に臨む富士通の川妻庸男執行役員常務CTO&CIO(右)と今田和雄執行役員インテグレーションサービス部門アプリケーション事業本部長

 新ソリューションによって、業務システムのデータを含む社内の各種データやSNSなどの外部データを組み合わせてリアルタイムに分析する高度なビッグデータ分析を、分析のノウハウを持たなくても簡単な操作で行うことができるという。

 今回はその第1弾として、業務部門でのニーズが高い「需要予測モデル」「顧客行動分析モデル」「経営分析モデル」を提供。これらのモデルは、同社がこれまで導入してきたノウハウをデータ分析手法として組み込み、分析のためのソフトウェアを業務ごとに最適に組み合わせたものだとしている。

 また、新ソリューションのデータ管理基盤の1つとして「FUJITSU Integrated System Analytics Ready」を新規提供するほか、インテグレーションを強化し、業務部門によるビッグデータ利活用を促進していく構えだ。

 富士通はビッグデータ関連事業として、ビッグデータにかかわる製品・サービス群を2013年6月に「FUJITSU Big Data Initiative」として体系化し、同年10月にはユーザーが導入効果などをイメージしやすいように10種のオファリングメニューを策定してきた。

 今回はその10種のオファリングメニューのうち、業務部門のニーズが特に高い3種に対し、業務部門の担当者自身によるデータ利活用を容易にするために、これまでの同社の“実践知”を組み込んだ分析シナリオと、業務ごとに最適なソフトウェアを組み合わせて提供。それを支えるデータ管理基盤とインテグレーションサービスも用意した形だ。

 新ソリューションの詳しい内容については関連記事等を参照していただくとして、ここでは今回の同社の発表でも大きなテーマに挙げられていた「ビッグデータを活用するのは誰なのか」について考えてみたい。

業務部門がビッグデータを活用する時代に

 富士通の川妻庸男執行役員常務CTO&CIOは発表会見で、ICT活用の変遷について次のような見解を示してみせた。

 「ICTの活用は、かつてメインフレームに代表されるコンピュータで生産性向上を図り、次に登場したクライアントサーバシステムやインターネットによってビジネスプロセスを変革してきた。そしてこれから、Internet of Things(IoT)すなわちビッグデータの時代を迎え、知の創造や行動支援に活用されるようになる。これはまさしく業務部門がビッグデータを活用し、イノベーションを実現する時代が来たことを意味している」

 また、同社の今田和雄執行役員インテグレーションサービス部門アプリケーション事業本部長は、この1年間における同社のビッグデータ関連商談のうち、75%が企画・営業・マーケティングや製造などの業務部門からの相談だったことを明らかにした。

 では、業務部門はビッグデータを活用して具体的にどのような問題解決を図ろうとしているのか。今田氏によると、例えば企画・マーケティング部門では、マーケティングROI向上やプロモーションの効率化、新商品開発などが挙げられるという。また、ECや通販では、リアルタイム・レコメンデーションによる購買促進・離反防止に。店舗運営では、リアルタイムな顧客行動や店舗モニタリングでの売り場最適化に。SCM(サプライチェーンマネジメント)では、需要予測の精度向上による機会ロスや廃棄ロスの低減に、といった具合だ。

 その上で今田氏は、アナリティクスがかつて経営層や管理部門を対象としていた伝統的BI(ビジネスインテリジェンス)から、データサイエンティストに代表される専門家が扱うビッグデータに活用されるようになり、さらに今後はビジネスユーザーによってビジネスプロセスの融合に向けても活用されるようになると説明した(下図参照)

データ利活用の進展 データ利活用の進展

クラウドサービス化で需要拡大へ

 業務部門とは別にもう1つ、今回の同社の発表内容を見て、ビッグデータを活用するのは誰なのかについて筆者なりに感じたことがある。それは、ソリューションの提供形態だ。

 同社の新ソリューションの価格は2000万円からで一括販売となっている。つまり、オンプレミスでの利用を想定したものだが、これでは一部の大手ユーザーしか対象にならないのではないか。新ソリューションを生かす舞台はまさしくクラウド上だ。ならば、ソリューション自体もクラウドサービスとして利用でき、導入・運用コストを軽減できれば、ユーザーにとっては一層検討しやすい形になる。

 実は、ビッグデータ活用ソリューションがクラウドサービスで提供されているケースはまだまだ少ない。それにはさまざまな理由があるようだが、これまでは大手企業が競争力向上のための門外不出のツールとして扱ってきた側面もある。しかし、このままではせっかくのソリューションも広く生かされないのではないか。

 そんな質問を投げ掛けてみたところ、今田氏は「まずはオンプレミスとして提供を始めるが、2014年度下期にはクラウドサービス化して広く利用できるようにする予定だ。実は大手でも、コストを抑えてまずはクラウドで試してみたいという要望が多い。その試行を大手だけでなく中堅規模にも広げていきたい」と答えた。

 川妻氏も「これまでは自社の貴重なデータを外部に出したくないという顧客が多かったが、最近では富士通のデータセンターに預けたほうが安全だという認識が高まってきている。当社としてはクラウドでもオンプレミスでも顧客ニーズに対応できるようにしていきたい」と答え、クラウドサービスへの手応えを感じているようだ。

 クラウドサービスによってビッグデータを活用する動きは、恐らく数年後には花盛りのビジネスになっているだろう。ICTベンダーの業容もかなり変化するような気がする。富士通がその先鞭をつけられるか、注目しておきたい。

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