日本IBM、次世代型モバイル管理プラットフォームを発売

スマートフォンやタブレットなどの端末を管理するMDM機能に加え、企業内の業務アプリケーションやファイルなども安全に活用するための「MAM」や「MCM」機能を備えた基盤を提供する。

» 2014年06月25日 14時20分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは6月25日、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を企業が包括的に管理できるソリューション製品「IBM MaaS360」の提供を開始した。SaaS版とオンプレミスで運用するソフトウェア版があり、参考料金は管理端末1台あたりSaaS版が月額100〜800円程度(利用機能に応じる)、ソフトウェア版が年間1000〜8000円程度(同)となる。

 MaaS360は、米IBMが2013年11月に買収したFiberlink Communicationsの製品・サービス。iOSやAndroid、Windows、BlackBerryなどのスマートフォンやタブレット端末を管理するMDM(Mobile Device Management)機能に加え、業務アプリケーションなどを安全に利用するための「MAM」(Mobile Application Management)機能や、企業内のドキュメントファイルを安全に利用するための「MCM」(Mobile Contents Management)機能、HTTPS通信を利用したイントラネットアクセス機能を提供する。

MaaS360の主な機能

 スマートフォンやタブレットを業務に利用する企業では盗難・紛失時のセキュリティ機能(遠隔操作による端末の初期化やロックなど)や資産管理の機能を備えたMDMを導入している場合が多い。MDMにMAMやMCMなどを加えた企業向け製品は「EMM」(Enterprise Mobile Management)などと呼ばれ、次世代型のモバイル管理基盤ともいえる。国内では2013年後半からベンダー各社がEMMを提供し始めた。

 同社ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure事業部長の林健一郎氏は、「企業でのモバイル活用はこれまでCRM(顧客関係管理)領域がメインだったが、昨年より社員の生産性向上などを目的として、社内のシステムやドキュメントを本格的に利用したいというニーズが高まっている」と説明した。

 MDMでは端末本体の管理に主眼が置かれているが、MAMでは企業が社員に提供するモバイル業務アプリケーションなどの展開や更新、削除といったライフサイクル管理が行えるほか、MCMではLDAPやActive Directoryなどの認証基盤との連携によるドキュメントファイルへのアクセスコントロールや利用制御(閲覧や編集などの操作)などができる。また、アプリケーションやドキュメントなどのデータを外部アプリにコピーさせないといったセキュリティ対策も講じられる。

 林氏によればMaaS360は10年ほど前から提供され、約5000社が利用する。IBMも買収直後に社員のモバイル管理基盤をTivoliからMaaS360に変更。7万人の切り替え作業を1カ月ほどで完了させた。米国の情報セキュリティ法のFISMAなどに準拠した堅牢性や、ユーザーの社員が自身の端末やアプリなどをある程度自主的に管理できるセルフポータル機能などが特徴だとしている。

IBMでの導入事例

 記者会見で専務執行役員のヴィヴェック・マハジャン氏は、同社のモバイル戦略について「モバイルによるビジネスの変革、顧客や社員とのつながり、モバイル基盤の構築、セキュリティの全てをIBMが提供する。競合は部分的に提供するだけだが、全てを提供することが重要だ」と強調した。

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