日本IBMがPaaS展開をアップデート、アプリ開発の新形態を促す

オンプレミスとクラウドの両面からPaaSを推進する日本IBMが直近の動向を説明した。アジャイル型のアプリケーション開発の普及を一段と加速させたい考えだ。

» 2014年08月28日 15時29分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは8月28日、PaaS基盤の垂直統合型システム「IBM PureApplication System」を管理するソフトウェアの最新版「IBM PureApplication Software V2.0」の提供を開始した。可用性のさらなる向上や、最適なアプリケーション実行環境を設定する「パターン」をより柔軟に活用できるようにしたという。

 最新版ソフトでは管理コンソールから複数のラック、データセンターに跨るPureApplication Systemへパターンを適用できるなったほか、ブロックストレージ機能への対応で異なるデータセンターのPureApplication Systemにデータを複製して災害時などの事業継続や復旧を容易にした。障害の予兆を検知して同社のサポート窓口へ自動通知する機能も新たに提供する。

 また、1つのOSイメージをベースにしてアプリケーションごとにパターンを構成できるようになった(従来はOS+アプリケーションごとに構成)。オープンソースのOpenStack HEATやChefに対応し、オープンソースコミュニティで開発されたノウハウをパターンの構成に活用できるという。

オンプレミスとクラウドの連携

 PureApplication Systemは、オンプレミス向けのPaaS基盤システムとして2012年4月に発表された。2014年6月にハードウェアを刷新し、IaaSのクラウドサービス「SoftLayer」とも連携。今回のソフトウェアのバージョンアップにより、第2世代のシステムとなった。WebSphere事業部長の清水徳行氏によると、導入企業ではパターンの活用からアプリケーション実行環境の構築を数カ月単位から数時間単位に大幅短縮できる効果が出ているという。IBMやパートナーから200以上のパターンが提供され、国内からはパートナー19社27種類が提供されている。「国内展開は順調。2014年後半も大型案件を多数抱える」(同氏)と説明している。

 2014年2月には、PaaSのクラウドサービス「Bluemix(旧称:BlueMix)」をベータ版サービスで開始し、6月末に正式版サービスへ移行。5月から8月にかけてBluemixを使った新規アプリケーションの開発コンテスト「Bluemix Challenge」も実施した。

 クラウド・プラットフォーム・事業部長の高瀬正子氏によれば、Bluemixに登録しているソフトウェア開発者は世界で約10万人に達したという。日本時間の8月29日夜からクレジットカード決済でも利用できるようにして、サービスの利用申し込みの拡大を図る。Bluemix Challengeには国内から250人以上が参加、Webやモバイルを活用したアプリケーションのアイデアが多数寄せられたといい、9月開催の同社のイベントで受賞者を発表する。高瀬氏は、こうした施策を通じたアジャイル型の開発の広がりに手応えを感じていると述べた。

Bluemixでの提供サービスの一例

 また、5月に米国内で開始したSaaS、PaaS、IaaSの統合ポータルサービス「IBM Cloud marketplace」ついても、9月のイベントで国内における対応などを明らかにするとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ