信じるか否か――疑惑のHuaweiが進める米国・世界戦略Computer Weekly

製品にバックドアなどが仕掛けられているという疑惑から、米国進出が進まないHuawei。同社は米国外の市場拡大と米国への浸透の2正面作戦を取る。疑惑は払拭されたのか?

» 2014年11月05日 10時00分 公開
[Bill Goodwin,ITmedia]
Computer Weekly

 中国の通信機器メーカー、華為技術(Huawei:ファーウェイ)は、今後世界的なITプロバイダーに急成長すると自負しているが、米国での事業拡大については懸念がある。同社は、米国議会の報告書でセキュリティに問題があると見なされて以来、米国市場での事業拡大の難しさに直面している。

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 だが同社は、IT運用事業をヨーロッパや米国以外の新興市場の広げることで、米IBMや米Ciscoなどの大手IT企業にも対抗できると考えている。米国IT市場も重要だが、Huaweiの成功に欠かせない市場というわけではないと語るのは、同社の最高戦略マーケティング責任者であり役員会のメンバーも務めるウィリアム・シュ氏だ。

 「米国市場は広大で重要だが、世界に目を向ければ米国よりも大きな市場はたくさんある」と同氏は話す。

 もともとネットワーク機器と通信機器のメーカーだったHuaweiは、2011年にITインフラ全般に事業を拡大した。現在はストレージ、ビッグデータ、データセンター設備を手掛けている。

 だが、米国で多額の売り上げを確保するまでには至っていない。米国での売上高は、南米を合わせても、同社の年間売上高400万ドルの13%にしかならない。

ブランドの信頼を取り戻す

 元人民解放軍のレン・ツェンフェイ氏が創業したHuaweiは、同社製機器のセキュリティに関する懸念を鎮めようとしているが、米国では依然として疑いの目を向けられている。

 米国で2013年10月に発表された下院情報問題常設特別調査委員会の報告は、政府の契約にHuawei製機器を使用することを禁止するよう求めている。また、同社製機器を使用することに伴う長期にわたるセキュリティのリスクについて考慮するよう各企業に要請している。

 Huaweiはこの報告書が事実無根であり、浅はかなものだとして取り合っていない。そして、中国政府が同社製機器のセキュリティを危険にさらすことはないと顧客に保証する措置を取っている。

 シュ氏はこの論争に触れ、他社の機器のセキュリティについて考えもしないで、特定のプロバイダーの機器だけのセキュリティに懸念を表明することには意味がないと話す。

ITビジネスの拡大

 上海市で開催されたHuaweiのクラウドカンファレンスの際に行われたシュ氏へのインタビューによると、同社は米国以外の地域でのITビジネス拡大に力を注ぐという。

 「中国、ヨーロッパ、新興国の各市場を合わせればITビジネスの領域は大きく広がる」と同氏は語る。

 米国での売り上げが伸びなくても世界最大の通信プロバイダーになることの妨げにはならないと同氏は指摘する。

 「米国の通信機器市場での当社のシェアは非常に少ないが、当社が世界トップの通信プロバイダーになることを阻害するものではない」

 同社はパートナーシップを結んだ米国のプロバイダーの協力を得て、米国での活動を広げている。そのため、米国での事業は徐々に成長していくだろう。Huaweiでパートナーシップとアライアンスに関する責任者を務めるレイモンド・ロー氏によると、教育分野のITなど、機密度の高くない分野でパートナーと協力することにより、米国での企業向けビジネスも成長を始めているという。例えば2014年、同社は米国のオンラインショッピングサイトNeweggとパートナーシップを結び、Huawei製機器がそこで販売されるようになっている。

 Huaweiの技術パートナーである米Intelは、米国におけるHuaweiのセキュリティ事業の基礎固めに協力している。Intel ChinaでHuawei担当のグローバルアカウント責任者を務めるアーサー・ファン氏によると、米国の企業はHuaweiのテクノロジーに対してオープンであるという。「HuaweiとIntelの米国営業チームを仲介し、より深く連携できるようにしている」と同氏は話す。

インターネットのセキュリティを確保する

 インターネットは、特に数十億ものデバイスをリンクするIoT(モノのインターネット)によってさらに広がり始めている。だがそれに伴ってネットワークのセキュリティに関する懸念が増えていることはHuaweiも認める通りだ。

 この問題には政府、業界、監督機関が連携して対処する必要があるとシュ氏は語る。

 「ネットワークの安定性とセキュリティは業界共通の懸念事項だ。個人情報の漏えいが最近よく聞かれる。この問題を解決してインターネットのセキュリティを確保するには、政府、ユーザー、キャリア、プロバイダーがそろって連携しなくてはならない」

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