サンリオの「キティちゃん」を支えるデータベースのチカラ(1/2 ページ)

ハローキティをはじめ、多数のキャラクターを生み出し続けているサンリオ。新商品の数は年間30〜40万点にのぼるという。多数の商品開発を遅延なくスムーズに進めるために、サンリオが打った施策とは。

» 2014年12月03日 08時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

 「キティちゃん」と言えば知らない人はほとんどいないだろう。日本だけではなく世界中で愛されているキャラクターで、最近ではさまざまなコラボ製品も登場している。ハローキティを生み出したサンリオは、ほかにも「ポムポムプリン」「マイメロディ」「KIRIMIちゃん」など、さまざまなキャラクターをデザインしている。LINEスタンプで人気が出ている「ぐでたま」もサンリオのキャラクターだ。

 サンリオの事業はこれらキャラクターグッズの製造と販売が中心だ。今や世界で同社のキャラクター商品を製造しているパートナー企業は世界に4000社ほどあり、年間30〜40万点の新商品を世に出す、巨大なビジネスとなっている。同社では多数の商品開発をミスなく迅速に進めるために、ITが大きな役割を担っているという。

photo サンリオは「ハローキティ」以外にもさまざまなキャラクターを展開している(出典:サンリオ)

商品数が増え、発売の遅延が問題に

photo サンリオ 情報システム部主任の古川雄規氏。ファイルメーカーの年次イベント「FileMaker カンファレンス 2014」で、自社の利用事例を講演した

 サンリオの新商品開発には、商品企画やデザイナー、製造業者、品質管理、ライセンス管理など、工程ごとにさまざまな人が関わっている。同社は以前、開発の進ちょくやワークフローといった情報に紙の書類を使っていたが、キャラクターが増えるとともに開発するグッズの数も増え、管理のミスや書類の処理時間などが開発の遅れにつながるケースが増えてきたという。

 「商品が増えるにつれて、『あれ、あの新商品のデザインチェック終わったっけ?』というようなミスが増えてきたんです。また、紙で情報を回していたころは、ある程度量がたまってから回すというスタイルの人や“偉い人”でチェックが止まってしまうケースがありました」(同社情報システム部 古川雄規さん)

 ある工程に遅れが出れば、その影響は後になるほど大きくなる。最悪の場合は発売予定を見直さないといけなくなるそうだ。こうした発売遅延を防ぐために、システム上でスケジュールと進ちょく状況を管理することを決め、2003年にデータベースアプリケーション「FileMaker」を導入した。現在は開発の進ちょく管理から、社員のスケジュール、クレームの管理といったものまで、FileMakerで作成したソリューションを使っているという。

photophoto 開発の進ちょく管理(写真=左)や社員のスケジュール(写真=右)などをFileMakerで作成したという

 導入の決め手は、FileMakerがWindowsでもMacでも使えること。デザイナーが全員Macを使っているためだ。開発の進ちょく状況は関係者全員が共有しておかないといけない。FileMakerの導入で印刷代や特殊用紙代(特に専門帳票など)、人件費などのコスト削減ができたが、品質管理でも大きな成果が出た。

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