「会議室」をなくしたら業務効率が改善できた――インテリジェンスのグループ会社新しい働き方、新しいオフィス(1/2 ページ)

どんなプロジェクトであってもチームで行う限り「会議」はなくならない。でも、それは「会議室」に集まらなきゃいけないものだろうか? 思い切って社内から会議室をなくした会社がある。

» 2015年02月05日 17時00分 公開
[岡田大助,ITmedia]

 会社に会議はつきものだ。なぜなら関係者が情報を共有し、意志決定できなければ、組織として業務を遂行することは困難だからだ。だから決して会議はなくならない。そして当然のように「会議室」が存在する。

 ところが、インテリジェンス ビジネスソリューションズ(以下、IBS)では、会議のほとんどがオープンスペースで行われる。それどころかボーナス査定などの人事評価もオープンスペースなら、来客対応もオープンスペース。ゾーン分けはあるものの、その横で社員が昼食を食べていることも。

 果たしてこれで業務は滞らないのか? 今回は、思い切って「会議室」をなくしてしまった会社を紹介したい。

社員のアレルギーはメリットの体験で克服

 IBSは、転職支援の「DODA」やアルバイト情報の「an」など、求人情報や人材紹介を手掛けるインテリジェンスのグループ企業。主に業務プロセルコンサルティングやシステム開発などを行っている。従業員数は2200人(2014年4月時点)だが、そのほとんどが客先に常駐していて、東京・豊洲にあるオフィスにいるのは約400人程度だ。

IBS エントランス。会社のロゴに似せたデザインの「会議室」はあるが、経営会議などで使われるだけでほとんどの社員が中に入ったことがないという

 ここまで極端に会議室の排除にこだわったのには理由がある。同社が豊洲のオフィスに引っ越してきたのは2013年7月。業務コンサルやシステム開発を行う会社とITアウトソーシングを行う別々のグループ会社が1つにまとまり新生IBSとして生まれ変わった直後だった。

 それぞれが別の場所に伝統的なオフィスを構え、必ずしもオフィス環境は良いとは言えない状態だった。その上、職種も違えば、企業文化も異なる。一体感のなかった2つの会社を新生IBSとしてどのように融合させるのかが新オフィス設計の優先課題の1つだったのだ。

 会議室がないオフィス――思い切った施策だが、社員に戸惑いはなかったのだろうか? 「もちろん社員にアレルギー反応はありました。でも、やってみたら思っていた以上に“普通”にやれることに気付いたのです。私たちは『メンタルモデルの打破』と呼んでいますが、これまでの概念をいったん捨ててみることは新しいオフィスの在り方を考えるテーマの1つでした」(同社広報)

 会議室を作るかわりにオフィスの半分近い面積をオープンスペースにした。営業やコンサルティングチームの社員は基本的に自分のデスクを持たないフリーアドレス制だ。

IBS イノベーションカフェと名付けられたオープンスペース
IBS 取材する横では社内ミーティングが行われている。中央にいるのは同社の長井利仁社長だ

 この取り組みが成功した理由は、何よりも会議室をなくしたことで生まれたメリットが、それ以前のデメリットを超えたという点にある。例えば、「会議室の予約」というタスクがなくなることで「会議室が予約で埋まっているから、会議ができない」という本末転倒は消えた。

 また「4時から会議だから、それまでに資料を作って」という働き方は否定され、資料を作る前にまずはミーティング。会議のための資料ではなく、ビジネスのための資料を作ることで無駄がなくなり、むしろ内容の精度が上がったという。

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