550人のフリーアドレス制とカフェと壁画のある会社――CBRE新しい働き方、新しいオフィス(1/5 ページ)

編集部に届いた1通のメール。とある企業の新オフィスの案内と社内の壁にグラフィティアートを描いている動画だった。これは行ってみなければ……。

» 2014年09月02日 11時45分 公開
[岡田大助Business Media 誠]

 Biz.ID編集部に1通のメールが届いた。「CBREという会社が新オフィスに移転したので見に来ませんか? 社内にカフェや壁画があって、新しい働き方を重視したオフィスができました」――あまりなじみのない社名だ。いまどきのITベンチャーだろうか? 添付されていた動画が興味をそそったのでさっそく見にいってみた。

CBREって何の会社なの?

 CBREの東京オフィスは、目の前に皇居前広場が広がる明治安田生命ビル(東京・丸の内)にあった。エレベーターホールを抜けると白を基調とした広いエントランス。しかも絶景である。

 昨今では受付スタッフを無人化する企業が増えてきているが、同社は移転後、あえて社員を「コンシェルジュ」として配置した。それはCBREの東京オフィスそのものを同社ブランドのショーケースとするための“おもてなし”の一環だという。うーん、一体、どんな企業なのだろうか?

CBRE コンシェルジュが笑顔で迎えてくれる受付
CBRE 待合スペースには本物の植物を使ったオブジェがあり
CBRE 目の前に皇居前広場が広がる

 実はこのCBRE、事業用不動産サービス企業として「フォーチュン500」にも名を連ね、世界に350カ所以上の拠点を構えるグローバル企業だ。日本ではキリンホールディングスの大規模移転・統合プロジェクトを手掛けたり、東京ディズニーリゾートのそばにある「東京ベイ舞浜ホテル クラブリゾート」の売却を支援したり、あるいはTOTOのインド工場の建設をサポートしたりと、“企業のための縁の下の力持ち”として活動している。

伝統的な島型レイアウトからの脱却

 「ここに引っ越してきたのは2014年4月7日ですが、移転プロジェクトは2012年の秋ごろから始まりました」というのは、今回、オフィスを案内してくれたルホン・リトー氏(ワークプレイスストラテジー ディレクター)とマンズル・マハタボ氏(IT部 ディレクター)の2人。リトー氏が移転プロジェクトを指揮し、マハタボ氏が社員が働きやすくなるためのIT導入を推進した。

CBRECBRE ルホン・リトー氏(左)とマンズル・マハタボ氏(右)

 「まずは、この写真をみてください」とリトー氏がスクリーンに映し出したのは、オフィス移転前の浜松町本社オフィス(2013年当時)の様子。机を島型に並べたいわゆる日本の“伝統的”なレイアウトで、各自のスペースも大量の紙が目立つ。

 また、浜松町オフィスだけでも5フロアに分断されていたうえ、今回の統合では新宿、日本橋、さいたま市にあった拠点も丸の内へと集約した。対象となる社員数は約550人、一大プロジェクトである。

CBRE 日本の伝統的なオフィス風景だ

 プロジェクトのゴールは、「CBREが考える“将来のワークプレイス”の実現」。そのためには、経営層や従業員に対するインタビューやアンケートといった聞き取り調査だけでなく、実際に社員がどのように働いているのかを徹底的に観測した。例えば、勤務時間の中で机に使っている時間はどのくらい? 会議室の使用時間は? 会議室を何人で使っている? 紙の使用量は?

 「観察調査によって多くの『ファクト』が集まりました。デスクの平均使用率は61%、ピーク時でも74%でした。また、在席中の業務のうち、誰にも邪魔されず集中したい作業は約25%、電話応対などの中断があってもかまわないものは約65%、社内のほかのスタッフとのコラボワークは約5%、そして電話会議が約5%だということも分かりました」(リトー氏)

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