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» 2015年03月05日 11時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第6回 え!? 「そこにお金をかける」のですか?

どうも違和感があるので、高額な補完ツールを追加購入して対策する。え? 日本企業が仮想化する理由は「コスト削減」のはずなのに……なぜ追加でコストをかけるのか。なんだか本末転倒な現状を解説する。

[小川大地(日本HP),ITmedia]
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 日本のITインフラの思惑の1つに「コスト削減を進めたい」があります。グローバルで見れば日本人は高収入な方ですし、人件費や運用管理がTCO(システムの導入や維持、管理にかかる費用の総額)の多くを占めているのは確かです。

 となると、コスト削減のための機械化、つまり“自動化”の仕組みが必要になりますが、その費用対効果は出ていますでしょうか? 無駄遣いしていませんでしょうか?


「コスト削減」の日々なのに、高額な補完ツールは素通り?

 仮想化インフラを実現するハイパーバイザー(コンピュータの仮想化にあたり、複数の異なるOSを並列に実行できるようにする制御ソフトウェア)を開発、販売しているのはVMwareやMicrosoftなどの欧米のメーカーです。製品企画や仕様設計の担当者のほとんどが欧米人になりますので、欧米人の性格や欧米企業の運用の実態を重々把握しています。この結果、前回お伝えしたような、彼らの求める“自律機能”が数多く製品に実装されています。

 「メーカー」という言葉を用いましたが、今日のIT、特にITインフラの分野は、残念なことに日本国内においてもほぼすべてが欧米メーカーのOS、パッケージソフトウェア、ハードウェア規格で成り立っているのが実情です。繰り返しになりますが、欧米の規格ですので、欧米人に合わせて設計されています。欧米企業の運用担当者は「なんて便利なんだ!」と喜ぶはずですが、日本の運用担当者からすると、違和感があり、しっくり来ないかもしれません。

 このギャップを埋めるために、日本企業では親しみやすい純国産の補完ツールを追加購入している姿が見られます。

 この対策は間違いではありません。しかしながら、こういった純国産の管理ツールはセミオーダーに近いものも多く、顧客の要望に色々と応えくれる半面、いろいろと高額です。そもそも日本企業が仮想化する一番の理由は「コスト削減」だったはずで、これでは本末転倒だと思います。

photo 日本企業はITインフラにコストをかけすぎているというデータも……

 少し古いですが、日本企業は欧米企業よりITインフラにコストをかけ過ぎているというデータがあります(アクセンチュア「ハイパフォーマンスのためのIT投資:CIOを対象としたグローバル調査2006」より)。理由はいくつかありますが、日本人のかゆいところに手の届く補完ツールが、保守を中心に足下を見る価格設定になっているのも大きいでしょう。その結果、コストは二の次と考えている欧米企業よりも、日本企業の方が多額のコストを注ぎ込んでしまっているのです。

 ここで欧米企業のITインフラの進め方をご紹介します。

  1. キー製品について、搭載機能やメーカー推奨の運用方法を理解する
  2. 標準機能では難しい点について、スクリプトなどでカバーできないか検討する
  3. スクリプトでも実現不可な場合は、運用ルールを変えることも視野に入れる

 コスト削減を重視するのであれば、製品にもともと用意されている自律機能を使わないのは非常に“もったいない”ことです。補完ツールに多額のコストを注ぎ込むのであれば、最初は違和感があっても、欧米的な考え方を受け入れてしまう方が手っ取り早くリーズナブルであるように私は思います。

 業務アプリは日本の法律や商習慣を意識していることが重要だと思いますが、ITインフラは万国共通ですので。

小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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