親子で知るべき情報セキュリティの基本とPC、スマホの使い方萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/2 ページ)

今回は「学生」を中心に情報セキュリティの注意事項をご紹介したい。特に親と子どもの間には、意識の違いが存在する。生活が変わる時期でもあるので情報セキュリティの基本について確認してもらえると幸いだ。

» 2015年03月13日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 4月から新入生として希望に溢れた学生生活を堪能したい思う人、現在学生で後輩が入学することを楽しみにしている人など様々な立場の学生いると思う。今回はそうした人たちに「情報セキュリティの基本」をぜひ理解していただき、安心・安全なPCやインターネット、その他デジタル機器を利用してほしいと思う。

PCに詳しくない大人がいる

 今では入学祝いにスマートフォンやPC、タブレット端末などを贈られる学生が多い。ただし、贈る側の大人たちのほとんどは、その詳細な仕様や利用方法、そして「リスク」を知らない。つまり、世代ギャップがある。なぜなら、大人たちが生まれた頃や子どもだった頃には、こうした機器が存在していなかった。子どもより年齢を重ねているとはいえ、こうした機器の使い方について詳しい人ばかりではないということだ。

 大学教授でもPCの基本的な使い方すら知らない方が多々いる。先日、その道では有名な某教授がノートPCと苦戦していた。なんと、画面の開け方が分からないという。嘘のような本当の話だ。だからといって、大人を小馬鹿にする言動は控えるべきだと思う。人生の先輩として大人から子どもが謙虚に学ぶところが多いからである。

 中高年の方々が知っておくべき事実もある。それは、「PCに慣れていない若者層が増加している」ということだ。これを聞くと、40代、50代のサラリーマンは大抵びっくりする。

 これは筆者にとっても意外だったが、要するに、今の子どもたちが生まれた時にはスマートフォンが既にこの世に存在していた。その時期に生まれた世代は「PCおたく」になる必要がなく、PCに慣れる時間があればスマートフォンを使いたいという学生が多い。なんと、就職先が決まってからも入社後にPCを使わなくてはいけないことに不安を感じているという学生もいる。

 「PCが苦手なので、メールも書くのも大変です。会社で使うので仕方ありませんが、トラブルと、まず対応できません」

 これが電子工学科に在籍していた22歳の若者の発言だ。これを少数派だと思いたいが、同じ不安を抱える若者がかなりいるようだ。噂では卒論をスマートフォンで作成した人が少なからずいるという。真偽は疑わしいものの、どうやら本当の事のようだ。

PCをスッピンで使うな!

 以前にもお伝えしたが、JPCERT コーディネーションセンターとTelecom-ISAC、日本の主要インターネットプロバイダー15社が、ウイルス対策ソフトをインストールしていない“スッピン”のPCをインターネットに接続すると、どのくらいの時間でウイルスに感染するのかを実験した。その結果は平均4分であった。

 この実験は10年ほど前のものだが、その本質は今も不変か、もっと酷くなっている。だから、スッピン状態のPCでインターネットを使うのは絶対に止めてほしい。できれば総合版がいいが、せめてPC購入時に付属しているウイルス対策ソフトか、無料版ソフトを使ってほしい。「自分の身は自分で守る」ことが基本である。

 時々、「ウイルス対策ソフトを使っていないけど、被害に遭ったことはない」と平気で言う人がいる。そういう人はかなりの高確率で既にマルウェアに感染し、その被害に気が付いていないだけだ。自分のPCから大量の迷惑メール(スパム)が送信されたり、オンラインサービスなどの提供を妨害する「DDoS」と呼ばれる攻撃の踏み台にされている事実を知らない。サイバー攻撃者がその気になれば、そのような人のPCを乗っ取り、ネットバンキングで不正にお金を得ることも可能である。

SNSの使い方に注意して

 自分で仲間だけに発言した「つぶやき」(ぶっ殺す、氏ね(死ね)、学校を爆破しようぜ)という感覚は、インターネットの世界にはあり得ない。その気になれば誰でもが閲覧できるし、匿名も存在しない。あっという間に個人を特定できる。サイバー攻撃者はあまりこういう攻撃をしないが、その理由は「お金にならない」からだ。

 気軽にした「つぶやき」に対して、しつこく攻めてくる輩もいる。ネット上での議論は現実世界の論争よりも危険だ。「顔を知られない」「匿名だ」なんてことは全く防御にならない。

 筆者が知る上場企業の人事担当者たちは、応募者のFacebookやTwitterなどを必ず確認して、過去の発言を注意深くチェックするという。数年前にカッとなって暴言をつぶやいていたら大変だ。削除していても無駄であり、ネット上のどこかにその時の発言の“コピー”が存在する。就職希望先の人事担当者に見つかれば、NGになり得ることを知っておいてほしい。しかも、これは米国でも同様だ。

PCに慣れることはお得

 特に仕事で使うアプリケーションがWord、Excel、PowerPointの3種類だ。バージョンによってやや使い方が異なるが、常に最新版を意識して使い方を学んでおくといい。無料で学習できるWebサイトも多く、お金をかけたくない学生はこういうところを使ってみるのも手だ。

知識は横断的に得るべし

 インターネットで新聞記事や評論を読んでいる学生は多いが、つい陥りがちなのが、特定ジャンルだけに偏ってしまうことだ。紙の新聞や雑誌には様々なジャンルの情報が混じっているので、一見興味のない情報でも意外な時に役に立つ。目的の記事だけを読んでいると、他の情報はほとんど入ってこない。できる限り、紙をパラパラめくる感覚でネットサーフィンをしてほしい。

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