今週はWindows 10に関する新たな発表が幾つか行われた。今回は大きく様変わりし始めたWindows 10関連の情報を整理してみたい。
Windows 10は、1月末に公開されたTechnical Previewから2カ月が経ち、やっと新しいビルド(ビルド番号10041)が3月18日(米国時間)に公開された。ビルド10041のプレビューに関しては改めて解説するが、今回は大きく様変わりし始めたWindows 10関連の情報を整理していこう。
3月18日から中国の深センでMicrosoftのハードウェアエンジニア向けイベント「WinHec」が開催された。以前は「Windows Hardware Engineering Conference」として開催されていたが、今回から名称が「Windows Hardware Engineering Community」となり、世界各地で年数回開催される予定だ。これに合わせるように、MicrosoftはブログでWindows 10を今夏にリリースすると発表した。
それまでMicrosoftは、Windows 10を年内にリリースするという言い方をしていたが、時期を明言したのは初めてだ。実際には、7月中旬頃にWindows 10を完成させ、即日もしくは数週間後には、Windows Updateなどを使ってオンラインアップデートができるようになるようだ。
Windows 10をプリインストールしたPCは、ベンダーでのテストなどがあるため、新製品の発売は早いメーカーでも8月末、遅いメーカーだと10月に入ってしまうだろう。多くのベンダーは、秋の新製品リリースに合わせてWindows 10のプリンストールモデルを展開すると思われる。
7月のリリースに関しては、多くの関係者やマスコミを含めてスケジュールが前倒しになった印象を持っている。当初は秋にリリースし、プリンインストールPCの発売が晩秋から年末(クリスマスシーズン)だと予想されていたからだ。今年1月に新しいTechnical Previewがリリースされた後は、ほとんどアップデートがなかった。スケジュールが少し遅れているとも思われていた。
このあたりの内情ははっきりしないが、一つ考えられるのは、MicrosoftがWindows 10でリリースしようとしていた機能を全て取り入れるのではなく、7月のリリースに間に合わない機能を新しいアップデートとして別のタイミングに提供する可能性があるということだ。
逆にいえばWindows 10は、リリース後に毎月、もしくは毎週、新しい機能がアップデートされていくかもしれない。企業ユーザーにとっては非常に迷惑なリリース方式だが、アップデートの頻度を下げておけば、落ち着いて対応できるだろう(エンタープライズ向けにはアップデートしない設定もある)。
WinHECのセッションでは、OSのバージョンによってアップデート方式に違いがあることが明らかにされた。無償アップデートの対象はWindows 7/8/8.1だが、Windows Updateによってオンラインでアップデート可能なのは、Windows 7 SP1とWindows 8.1 Updateのみとなる。つまり、毎月のWindows Updateをきちんと行っているユーザーの機種はオンラインでWindows 10にアップデートできる。
一方、Windows 7 RTM、Windows 8/8.1 RTM版などのユーザーは、Microsoftが提供するWindows 10へのアップデート用のISOイメージを使ってオフラインでアップデートすることになる。ちなみにWindows RTは、オンライン、ISOイメージともWindows 10へのアップデートが用意されない。事実上、製品が終了したとみていい。
Windows Phone(以下、WP)は、ISOイメージが提供されず全てオンラインアップデートになる。オンラインでアップデートはWP 8.1のみのため、WP 8のユーザーは、いったんWP 8.1にアップデートしてから、さらにWindows 10へアップデートすることになる。WPはデバイスメーカーがアップデートを決めているため、現状ではMicrosoftブランドのLumia(旧Nokiaブランドを含む)がWindows 10にアップデート可能ということが発表されている。
また、Microsoftが中国ベンダーの小米科技(Xiaomi)と提携し、Android OSを登載したMi 4をWindows 10に書き換えるROMパックを提供すると発表している。このあたりは、非常に戦略的な動きだ。Windows 10 for Phoneは、OSのフットプリントが小さい。要求されるハードウェアも、既存のAndroidスマートフォンとほとんど同じであるため、このようなことが可能なのだろう。
Microsoft自体が、他のベンダーのスマートフォン向けにWindows 10 for PhoneのROMパックをリリースするとは思えないが、スマートフォンベンダーが自社のAndroidスマートフォンをWindows 10化するROMパックを出すことは十分に考えられる。新しいスマートフォンではAndroidとWindows 10をブート時に切り替えられる製品が出てくるかもしれない。
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