まとめ読み・予想されるWindows 10のリリースインパクトEnterprise IT Kaleidoscope(1/2 ページ)

今週はWindows 10に関する新たな発表が幾つか行われた。今回は大きく様変わりし始めたWindows 10関連の情報を整理してみたい。

» 2015年03月20日 11時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

 Windows 10は、1月末に公開されたTechnical Previewから2カ月が経ち、やっと新しいビルド(ビルド番号10041)が3月18日(米国時間)に公開された。ビルド10041のプレビューに関しては改めて解説するが、今回は大きく様変わりし始めたWindows 10関連の情報を整理していこう。

7月にはWindows 10が手に入る

 3月18日から中国の深センでMicrosoftのハードウェアエンジニア向けイベント「WinHec」が開催された。以前は「Windows Hardware Engineering Conference」として開催されていたが、今回から名称が「Windows Hardware Engineering Community」となり、世界各地で年数回開催される予定だ。これに合わせるように、MicrosoftはブログでWindows 10を今夏にリリースすると発表した

 それまでMicrosoftは、Windows 10を年内にリリースするという言い方をしていたが、時期を明言したのは初めてだ。実際には、7月中旬頃にWindows 10を完成させ、即日もしくは数週間後には、Windows Updateなどを使ってオンラインアップデートができるようになるようだ。

 Windows 10をプリインストールしたPCは、ベンダーでのテストなどがあるため、新製品の発売は早いメーカーでも8月末、遅いメーカーだと10月に入ってしまうだろう。多くのベンダーは、秋の新製品リリースに合わせてWindows 10のプリンストールモデルを展開すると思われる。

 7月のリリースに関しては、多くの関係者やマスコミを含めてスケジュールが前倒しになった印象を持っている。当初は秋にリリースし、プリンインストールPCの発売が晩秋から年末(クリスマスシーズン)だと予想されていたからだ。今年1月に新しいTechnical Previewがリリースされた後は、ほとんどアップデートがなかった。スケジュールが少し遅れているとも思われていた。

 このあたりの内情ははっきりしないが、一つ考えられるのは、MicrosoftがWindows 10でリリースしようとしていた機能を全て取り入れるのではなく、7月のリリースに間に合わない機能を新しいアップデートとして別のタイミングに提供する可能性があるということだ。

 逆にいえばWindows 10は、リリース後に毎月、もしくは毎週、新しい機能がアップデートされていくかもしれない。企業ユーザーにとっては非常に迷惑なリリース方式だが、アップデートの頻度を下げておけば、落ち着いて対応できるだろう(エンタープライズ向けにはアップデートしない設定もある)。

アップデート方式に違いも

 WinHECのセッションでは、OSのバージョンによってアップデート方式に違いがあることが明らかにされた。無償アップデートの対象はWindows 7/8/8.1だが、Windows Updateによってオンラインでアップデート可能なのは、Windows 7 SP1とWindows 8.1 Updateのみとなる。つまり、毎月のWindows Updateをきちんと行っているユーザーの機種はオンラインでWindows 10にアップデートできる。

 一方、Windows 7 RTM、Windows 8/8.1 RTM版などのユーザーは、Microsoftが提供するWindows 10へのアップデート用のISOイメージを使ってオフラインでアップデートすることになる。ちなみにWindows RTは、オンライン、ISOイメージともWindows 10へのアップデートが用意されない。事実上、製品が終了したとみていい。

Windows 10へのアップグレード。Windows UpdateでのオンラインアップデートはWindows 7 SP1、Windows 8.1 Updateに限られる。その他はISOイメージでアップデートする

 Windows Phone(以下、WP)は、ISOイメージが提供されず全てオンラインアップデートになる。オンラインでアップデートはWP 8.1のみのため、WP 8のユーザーは、いったんWP 8.1にアップデートしてから、さらにWindows 10へアップデートすることになる。WPはデバイスメーカーがアップデートを決めているため、現状ではMicrosoftブランドのLumia(旧Nokiaブランドを含む)がWindows 10にアップデート可能ということが発表されている。

 また、Microsoftが中国ベンダーの小米科技(Xiaomi)と提携し、Android OSを登載したMi 4をWindows 10に書き換えるROMパックを提供すると発表している。このあたりは、非常に戦略的な動きだ。Windows 10 for Phoneは、OSのフットプリントが小さい。要求されるハードウェアも、既存のAndroidスマートフォンとほとんど同じであるため、このようなことが可能なのだろう。

 Microsoft自体が、他のベンダーのスマートフォン向けにWindows 10 for PhoneのROMパックをリリースするとは思えないが、スマートフォンベンダーが自社のAndroidスマートフォンをWindows 10化するROMパックを出すことは十分に考えられる。新しいスマートフォンではAndroidとWindows 10をブート時に切り替えられる製品が出てくるかもしれない。

画像02:Windows 7 SP1におけるオンラインアップデートのイメージ。画像右下にWindows 10へのアップデートが表示されている
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ