AWSやAzureにもつなげる――NTT Comがクラウド戦略を更新

NTTコミュニケーションズがクラウド事業について説明。有馬社長はグローバル展開の推進などの取り組みを表明した。

» 2015年04月07日 18時24分 公開
[國谷武史ITmedia]
会見する有馬彰社長

 NTTコミュニケーションズは4月7日、クラウドサービス事業に関する取り組みを報道機関向けに説明した。有馬彰社長は「グローバルシームレス」をコンセプトに、2015年も継続的なサービス強化などに臨むと表明した。

 有馬氏は、まず2014年度を振り返ってサービス、オペレーション、販売の3領域で「グローバルシームレス」に取り組んできたと説明。サービス面では世界で共通の内容・品質のサービス提供に注力したとし、セキュリティやアプリケーション、ネットワークなどの分野で買収企業のリソースやノウハウを生かした運営に切り替えてきた。

 同社グループが保有するサーバルームは2014年度に21万4000平方メートルに拡張し、2015年度は独e-Shelterの買収などを通じて34万9000平方メートルにまで広がる見込み。クラウドサービス拠点も12拠点から2015年度は16拠点に増やす。2014年度の顧客企業数はクラウドサービスで7300社(うち海外1700社)、VPN契約数は29万9000回線(同1万4000回線)にまで拡大する見通しだという。

 国内ユーザー企業では基幹業務システムなどで同社の国内外のデータセンターを利用する事例が増加。例えば、参天製薬では日本、欧州、米国のNTTコミュニケーションのデータセンターに基幹系と情報系システムを統合して世界で一元的な運用体制を構築した。コニカミノルタではシンガポールのNTTコミュニケーションのデータセンターにSAPの販売管理システムを構築。中国やアジア中東地域の各拠点から複数の通信事業者回線を経由してアクセスできる仕組みを運用している。

ユーザー企業のクラウド活用事例

 有馬氏は、クラウド事業のグローバル展開についてまだ道半ばとの認識を示し、2015年度の展開では通信事業者ならでは特徴を生かしたサービスの拡大に注力するとした。

 ネットワークサービスのArcstar Universal Oneではクラウド事業者関連の接続を拡大し、8月には現在のSaleforceに加えてAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureと接続できるようにする。また、ファイアウォールやWAN高速化の機能をソフトウェアサービスで提供するほか、モバイル環境を含めた統合型のVPN接続サービス、WAN高速化サービスを順次提供していく。

 また2015年12月までに「次世代クラウド基盤」によるサービス展開も計画。SDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)技術を生かしてマルチテナント型サービスやベアメタルおよびホスティングの占有型サービスを柔軟に組み合わせてサービスを利用できるようになるという。取り組みの中では約40カ所のデータセンター間を10Gpbsのベストエフォート型ネットワークで接続できるようにするほか、クラウドサービス間やクラウドとコロケーション環境との接続を無償にする。

他社クラウドサービスとの接続も順次拡大するという

 この他にユニファイドコミュニケーションなどのアプリケーションサービスの拡充や、マネージドサービスにおけるシステム設計などへの提供範囲の拡大、API提供の拡大などにも取り組むとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ