With Bingの利用に関するライセンスに法人、個人といった制限はないようだ。このため企業内でWith BingのPCを使用してもライセンス違反にはならない。なおWith Bingは、Windows 8.1(無印)相当であるため、企業内のドメインに参加できない点に注意が必要だ。
ドメイン参加にはWindows 8.1 Proが必要になる。ただし、Windows 8.1から追加された「ワークプレイス ジョイン」などの機能を使えば、Active Directoryと連携した動作ができる。With BingをProにアップデートするには、「Windows 8.1 Pro Pack」(販売価格1万3824円)でPro用ライセンスを購入すればいい。アップデート方法はWith BingにPro Packのアップデートライセンスを入力するだけだ。再起動後にWindows 8.1 Proとして利用できるようになる。
企業ではMicrosoftと「SA」(ソフトウェア アシュアランス)契約をしている場合がある。With Bingは、SA契約の対象ではないため、まずPro PackでProにアップデートし、その後SA契約を行うことになる。ただしこれだと、最初からSA契約でOSを導入するより高額だ。この他にもWith Bing(Windows 8.1と同じ)クライアントハイパーバイザのHyper-Vがサポートされていなかったり、VHDブート機能などができなかったりする。
企業でのWith Bing利用に関しては、ドメイン参加以外に困ることはほとんどないだろう。日本マイクロソフトは、ドメイン参加機能がサポートされていないため企業での利用は勧めてはいないが、「特定の利用方法ではWith Bingを企業で利用するメリットはある」と話している。
まだMicrosoftからWindows 10のエディションに関する発表がないので予測になるが、簡単に言えば、Windows 8.1 With Bingでも、Windows 10のリリースから1年間は無償アップデートができるだろう。
幾つかの情報をもとにすると、Windows 10のエディションは「Windows 10」「Windows 10 Pro」「Windows 10 Enterprise」(SA契約のみで提供)に分かれるようだ。「Windows 10 With Bing」というエディションが特別に用意されるわけではないが、特定条件を満たすPCではWith Bingと同じく、Windows OSを無償で提供するとみられる。ある意味ではWindows 10(無印)がWith Bing化し、非常に安い金額(もしくは無償)で提供されるようになるかもしれない。
ドメイン参加が必要になる企業では、Windows 10 Proを使用するか、SA契約前提のWindows 10 Enterpriseを使用することになる。Microsoftは、企業ではSA契約前提のWindows 10 Enterpriseを使ってほしいと考えているため、もしかするとProエディションが縮小し、Enterpriseエディションに集約されるかもしれない。このあたりは実際にエディションの発表があるまで非常に流動的だ。
ただ、Microsoft社が個人や一部の法人用途には、OSを無償(もしくは非常に低額)で提供しようという考えに変わってきているとは推測できる。
これはOS自体の販売価格で稼ぐよりも、OSが密接に連携するクラウドサービス(Office 365、OneDriveなど)のサブスクリプションで稼いでいこうという考え方なのだろう。将来的には、一部のOSのエディションでは年間サブスクリプションというビジネスモデルも採用されるかもしれない。
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