自分の強みをキャリアに生かす方法とは? 才能の“専門家”に聞いてみた今日から自分プロデュース!(2/3 ページ)

» 2015年04月30日 08時00分 公開
[伊藤利江子ITmedia]
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30代で“アタリ”をつけて、40代でシャープにとがれ!

森川: 動物の種族が分かってきたあとは、40代半ばにかけて「自分はどの動物として生きていくか」を見極めていきます。例えば、心優しい動物のカテゴリでもウサギのように一人でピョンピョンやっていくのか、シカみたいに複数人で集まって成果を出していくのか。自分は何が強いかをより詳しく見極め、とんがっていくのです。減り続ける選択肢の中から、これだと思う方向に進んでいくイメージですね。

伊藤: とんがっていく? 専門的になるという意味ですか?

森川: “とんがる”というのは、自分が見極めた強みに、より集中していくということです。逆にできないことも明確になるので“諦め”も大事になってきます。いくつになっても、周りの人はあなたによかれと思って「○○の能力が足りない」とアドバイスをしてくるでしょう。ただ、それを聞き続けると“この強みで勝負する”という決断ができません。ある一定のラインでスルーするという力を身に付けるのが大事なのです。

伊藤: “スルー力”ですか。それも強みによって変わってきそうですね。

森川: おっしゃる通り、実行力や影響力の資質を持っていると諦めるマインドになりにくい傾向はあります。特に気を付けるべき資質は「最上志向」ですね。一番よい状態を追い続けるという資質なので、「もしかしたら、もっとよくなるかもしれない」と思ってしまう。自分の思い描く理想像に突き進み続けてしまうと大変です。

伊藤: なるほど。最上志向を持つ人は、自分の思い描く完璧に周りの人にも求めてしまうというワナがありますが、その理想像に自分自身も縛られてしまうというのは気をつけたい点ですね。

photo ストレングス・ファインダーで挙げられている34種類の資質と資質の4分類

マネージャーとして生きるか、職人として生きるか

伊藤: ここまで、自らの強みとキャリアについてお話を伺ってきましたが、ほかに40代までに意識しておくと良いことにはどういったものがありますか?

森川: 自分が組織の中で、職人として生きるかマネジメントとして生きるかを見極めることが大事ですね。38歳ぐらいがそのラインかもしれません。その時点でマネジメントができなければ、職人として生きる方が自分の持っている力を最大限発揮できます。マネジメント方面に進むなら、自分の強みを自分で成果を出すために生かすより、周囲のメンバーに仕事をしてもらうために生かすという使い方が重要になります。

伊藤: 私の場合、実行力や影響力の資質が多いので、「人に任せるくらいなら自分が」となってしまいがちです。ちょっと職人寄りなのかな。もしマネジメントをするとしたら、どう強みを使うとよいでしょうか。

photo 筆者の上位5つの才能。物事を人に伝える力に長ける「コミュニケーション」がトップとなっている

森川: 伊藤さんの場合は、物事を知りたがる資質である「学習欲」と「収集心」をうまく生かせるといいですね。知りたいという欲求を人に向けてみてください。この人は何を考え、どう関わると気持ちよく仕事をしてくれるのか……。それを学習しながら知見を収集していく。その上で、実行力や影響力の資質もうまく使えるといいですね。すべての物事に対してスピードが早い「活発性」は、訓練すれば緩急をつけられる強みになります。相手のペースに合わせつつ、緩急をうまく使い分けましょう。

伊藤: 私自身は、強みを仕事の内容やコンテンツに向ける傾向がありますが、これをマネジメントの力として、自分と周囲の人に使えるようにしたいですね。

森川: その通りです。もちろん、他人の成長を促すことに楽しさを見出す資質である「成長促進」など、サポーター的な強みを持っている人がリーダーになると周囲の人の力が最も伸びます。

 こういう人は目立ちにくいのですが、彼らをマネジメントとして登用できる組織は健全ですね。実行力の資質や影響力の資質が強い方は、自分で成果を出してマネージャーになるので、部下ができないことが分からない。それゆえに部下に辛く当たってしまう。コンサルとして行く先々で「この人だと部下がつぶれちゃうよ……」と思ってしまう組織が多いので……(笑)。でも、伊藤さんのように自分のほかの才能をうまく使って、チームメンバーを育成していくというのは強みの最高の使いこなしです。

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