正解がなく先が見えない、混乱に満ちた世界で自分をどう安定させるか。最終回となる今回は、連載のまとめとして「VUCAワールド」になぞらえて、カオスな世界の中でも、力強く前に進んでいくために必要な4つのポイントを紹介します。
忙しい日々の中で「自分って何のために仕事してるんだっけ……」と感じたことはありませんか? 周りの都合に振り回され、目の前の仕事で精一杯。そんな“カオス”な環境に浸っているうちに「自分自身の目標を忘れてしまう」というのはよく聞く話です。
この連載では、そんなビジネスパーソンに向けて、自分自身の強みやワナを理解し、より“自分らしさ”を生かして仕事をする手助けとなるツールや方法を紹介していきます。
忙しい日々の中でも、自分らしさを忘れずに楽しく働く――。この連載では、自分自身の強みを理解し、使いこなす“自分プロデュース力”を高める方法を6回にわたって紹介してきました。
連載の第1回を思い出してください。今の世の中は“正解がなく先が見えない”、混乱に満ちた「VUCAワールド」ではあるものの、自己理解を進めることで、自分が進むべきを方向を見据え、人生をコントロールしていくことはできるという話をしました。
不安定(Volatility)で不確実性(Uncertainty)が高く、複雑(Complexity)かつあいまい(Ambiguity)な世界。このVUCAという言葉自体は、アメリカの軍隊で使われていた用語であり、厳しい世界の中で“生き残っていく”ことを目標としたものです。しかし“生き残る”なんて悲壮感を漂わせても人生は面白くない。であれば、前向きにこのVUCAという言葉を捉え直せないか、と考える動きも出てきています(参照リンク)。
それでは、自分らしさを生かして楽しく働くための「今日から自分プロデュース!」流、「新VUCAワールド」をご紹介しましょう。
読者のみなさんの多くは、何らかの組織に属して日々働いていると思います。連載の第2回で、自分やチームのメンバーたちの強みや価値観を源泉にして、理想の未来を描くポジティブアプローチを紹介しました。
とはいえ、それぞれがポジティブアプローチを目指しても、それは個人のゴールや目的であって、チーム全体のものにはなりません。共通のゴールを全員で共有し、合意をとらないと“チーム”として働くのは難しいでしょう。
私たちは普段、チームとグループの違いを意識する機会が少ないと思います。しかし、人が集まっているだけではただのグループにすぎません。共通のゴールがあるからこそ、はじめてメンバー間の協働や相互理解が始まります。「自分のチームは“チーム”となっているのか?」と事あるごとに、自分に問いかけてみるといいでしょう。
第3回、第4回では、自己理解を深める方法を中心に取り上げました。「ストレングス・ファインダー」という診断テストの結果を用いて、自分自身の強みを知り、その強みが人生においてどう生きてきたかを振り返ったり、自分の得意な行動パターンを図示する方法をお話しました。
私はこれまで、クライアントとのセッションやワークショップで、現在の仕事に生きている自身の強みが、学生時代の経験から形作られてきたケースをよく目にしました。その経験から、自分の強みという観点で人生を振り返るときには、幼少期から20歳くらいまでで、印象に残ったイベントを思い出していく方法がよいと思っています。また、自分の得意な行動パターンを図示するのは、自覚を導くツールではありますが、それ以外にも、自分の強みや大事にしていることを絵に描いてみるというのもオススメです。
目で見て、耳で聞いて、実際に触ってみる。感覚にはたらきかけるさまざまな方法で試すと、自分の意識に定着しやすくなります。当たり前ですが、強みは目には見えないものなので、話として耳で聞くだけでなく、図や絵にして目で見える形にすることで、強みへの意識が高まるのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.