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» 2015年05月22日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第14回 「Software-Defined Storage」にまつわるウソホント (1/2)

ハイパーコンバージドのための先端キーワードが「Software-Defined Storage」。欧米では「これまでの聖域に対する“破壊的イノベーション”」とされています。そんなSDSの真相と現状、課題を解説します。

[小川大地(日本HP),ITmedia]
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 前回、ハイパーコンバージドは“何がHyper”なのかを説明しました。そして、このHyperを実現可能にするのが「Software-Defined Storage(SDS)」です。

 名前の通り、ソフトウェアで実現するストレージです。ただ、まだ黎明期と言わざるを得ない2015年5月現在、SDSを採用しても大丈夫なものなのでしょうか?

 今回はサーバ、ストレージ、仮想化のいずれのキャリアを持つエンジニアとして、個人的な見解を交えて考えてみたいと思います。


Software-Defined Storageとは?

 SDSを理解するには、前回ご紹介したハイパーコンバージドで考えるとよいでしょう。

 ハイパーコンバージドはたった2Uサイズの小型版コンバージドインフラです。この2Uの筐体にはブレード型の高密度サーバーが4台入っているだけす。個々に内蔵ディスクはあるものの、クラスタを組むために必要な“共有ストレージ”は見当たりません。しかしながら、ハイパーバイザーの管理ツールをのぞいてみると、共有ストレージを認識しており、vSphere HAといったクラスタを構成できます。

 ハイパーコンバージドでは、唯一のストレージである内蔵ディスクに仮想マシンを格納します。しかしながら、共有ストレージはどのサーバからも同じデータにアクセスするために必須であり、それができない内蔵ディスクではクラスタを組めません。そこで、このギャップを埋めるカラクリがSDSになるわけです。

 まとめると、内蔵ディスクの欠点は「1つのデータに対して複数のサーバからアクセスできず、そこがSPOF(Single Point of Failure:単一障害点)になる」ことにあります。そこで単純な話で考えます。自身の内蔵ディスクだけでなく、別のサーバの内蔵ディスクにも常時複製したらどうでしょう。あたりを見回してみると、UNIXやDBMSなどでは、古くから「ミラーディスク」「シェアード・ナッシング」というソフトウェアベースの技術があります。ネットワーク越しのI/Oになりますが、昨今では一般的なLANケーブルでも10Gbpsの超高速通信が可能です。

 そうです。“分散ストレージ”などとも言われ先進技術に聞こえますが、何てことはない、中身はミラーディスク技術の応用形です。

photo ハイパーコンバージドにおけるSDSは、ミラーディスク技術の応用

きっかけは“ストレージの限界”

 ではなぜ、今になってミラーディスク技術がSDSという“格好よい”名称で脚光を浴びているのでしょう。きっかけの1つは「ストレージの限界」という悩みごとです。限界と言ってもテクノロジーの限界ではありません。コストの限界のことです。

 エンタープライズ基盤におけるストレージは、大手コンピュータメーカーやストレージ専業メーカーの専用装置を利用するのが常識であり、いわば聖域でした。しかし、ユーザーが求める性能や求める容量からすると、予算が合わず、がまんを強いられる状況が昨今増えてきています。

 例えば昨今のPC入れ替えで検討に挙がるであろう「VDI(デスクトップ仮想化)」を考えてみてください。家電量販店に並ぶ一般的なノートPCには、128GバイトクラスのSSDが搭載されています。VDIでこの容量と性能を実現するのは不可能ではありません。ですが、実現しようとすると予算をはるかに超過します。“快適なPCなど夢のまた夢”です──これがコストの限界です。

 しかし、サーバの内蔵HDD/SSDならば共有ストレージのそれと同じ性能、信頼性で、はるかに低価格で販売されています。これをうまく活用できれば、ディスクについては店頭に並んでいるPCの性能と容量に近づけられるかもしれません。

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