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» 2015年05月27日 08時00分 UPDATE

国が選ぶ“攻めのIT”のトップランナー企業18社

経済産業省と東京証券取引所が“攻めのIT”に積極的に取り組む企業18社を「攻めのIT経営銘柄」として発表。投資家や経営層に周知することで、新事業の創出やビジネスモデル変革を導くなど、企業の収益性や競争力を高めるIT投資を促したいという狙いがある。

[池田憲弘,ITmedia]
photo 「攻めのIT経営銘柄」のロゴマーク。3本の矢印はビジネスにおけるIT活用のうち「維持」「改善」「革新」を表しており、ITによる事業革新を目指している企業であることを示しているという

 コスト削減や業務効率化といった保守的な投資だけではなく、新事業の創出やビジネスモデル変革を導くIT投資を――。

 日本で「攻めのIT」という言葉が使われるようになって久しいが、他の先進国と比較すると“攻めのIT”に関する投資の比率は低いと言われている。日本企業のIT投資を活性化させるにはどうすればいいか。今や企業の“攻めのIT”への投資は国を挙げての課題となっている。

 経済産業省と東京証券取引所は5月26日、経営レベルで“攻めのIT”に積極的に取り組む企業18社を「攻めのIT経営銘柄」として発表した。長期的な視点で企業価値が向上する企業として投資家に紹介することで、株価の向上が期待されるとしている。

 東証に上場している約3400社を対象にアンケートを行い、IT活用に対する姿勢や具体策などを評価したうえで、自己資本利益率(ROE=企業の収益性を測る指標)が業種平均を上回る企業を業種ごとに選んだという。グループで基幹系システムの統合を進めたアサヒホールディングス(参考記事)や、コールセンター業務にIBMの人工知能「Watson」を導入した三井住友フィナンシャルグループなどが選ばれた。発表された18社は以下の通り。

<2014年度「攻めのIT経営銘柄」18社>
企業名 業種
アサヒグループホールディングス 食料品
東レ 繊維製品
エフピコ 化学
ブリヂストン ゴム製品
JFEホールディングス 鉄鋼
小松製作所 機械
日立製作所 電気機器
日産自動車 輸送用機器
ニコン 精密機器
トッパン・フォームズ その他製品
大阪ガス 電気・ガス業
東日本旅客鉄道 陸運業
アルファポリス 情報・通信業
三井物産 卸売業
三井住友フィナンシャルグループ 銀行業
東京海上ホールディングス 保険業
東京センチュリーリース その他金融業
photo 2014年度「攻めのIT経営銘柄」に選ばれた18社の代表

「攻めのIT経営」を国が勧める理由

 経産省と東京証券取引所は、過去にも女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として発表するなど、政策に合致する企業活動を周知させてきた。

 今回、攻めのIT経営をテーマにしたのも、安倍政権の成長戦略で「攻めのIT活用・投資」が注力する分野となっているためだ。2014年に閣議決定された『日本再興戦略』改訂2014において、日本の“稼ぐ力”、つまり収益力を強化するというテーマがあり、中でも労働生産性の向上が喫緊の課題として挙げられているという。

photo 『日本再興戦略』改訂2014の概要

 「時間あたりの労働生産性については、日本はOECDに加盟している34カ国中で22位、主要先進国7カ国の中では最下位だ。生産性を上げるためには、事業の選択と集中や、IT投資による経営革新を進めるといった方法がある。日本のIT投資額は欧米と比べても遜色(そんしょく)ないが、守りの施策に投資するケースが多い。日本でも今後、多くの企業が『攻めのIT経営』へと転換し、競争力を高める必要があると考え、この“攻めのIT経営銘柄”を実施した」(経済産業省 商務情報政策局長 富田健介氏)

 選定基準にROEを入れているのも、収益性の向上を目指してほしいという狙いからだ。経済産業省は2014年8月、日本国内の企業に対し、8%以上のROEを確保するよう提言(通称:伊藤レポート)している。

photo 日米の企業でIT投資の目的を比較すると、傾向が大きく異なることが分かるという

 「攻めのIT経営は、企業の事業戦略そのものであるため、企業トップの判断や意思決定が必要。ITへの投資は、研究開発や広告への投資よりも収益に与える効果が高いという研究結果もある。これからはコスト削減による収益改善ではなく、売上の拡大を目的としたIT投資を優先させていくべきだ」(経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課長 野口聡氏)

 今回の企業選定における調査の結果、業種や企業の間でIT投資の取り組みに大きな差があることが分かったという。業種別では、最も攻めのIT投資が進んでいたのが「精密機器」業界、逆に最も投資が遅れていたのは「農林水産業」だった。調査に協力した企業には、経営の参考にしてもらうよう、他社の回答状況などを共有するという。

photophoto 日本で“攻めのIT投資”が進まない要因として、経営層の意識(写真=左)やユーザー企業におけるIT人材の不足(写真=右)が挙げられた
photo 経済産業大臣の宮沢洋一氏

 発表会には、経済産業大臣の宮沢洋一氏も登壇。「サイバー空間でのビックデータ処理で得られた知見が、実世界の動きに影響を与えるサイバーフィジカルシステムが現実になりつつある。その中で企業が競争力を持つためには“攻めのIT活用”が重要だ。今回選んだ18社は、各業界における攻めのITのトップランナー。過去10年間の運用パフォーマンスを見ても、日経平均株価の約1.2倍と優秀」と選定された企業に期待を寄せた。

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