自動制御の植物工場、センサー×ビッグデータ×人工知能で実現へ

センサーとビッグデータ、人工知能をフル活用して自動制御の植物工場を――。スタンシステムがITを利用した工場の運用に乗り出した。ITインフラにはIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。運用のノウハウを蓄積し、LED植物工場用栽培環境最適化システムとして外販することも検討している。

» 2015年07月17日 14時03分 公開
[後藤祥子ITmedia]
Photo 工場ではいちごを栽培。色の異なるLEDを組み合わせた8つの異なる環境を用意し、最適な育成方法を探っている

 センサーとビッグデータ分析、人工知能をフル活用して自動制御の植物工場を――。スタンシステムがITを利用した植物工場の運営に乗り出した。ITインフラにはIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。運用で蓄積されたノウハウをベースに開発したシステムパッケージの外販も予定している。

 スタンシステムのLED植物工場は自動制御式で、作物の生育状況に適したLED光(周波数・光力)を照射することで最適な栽培環境を維持し、植物を育てる。栽培環境を維持するためには、温度や湿度、水分、二酸化炭素、消費電力、成長過程の画像などといった作物の栽培環境データを自動収集して生育状況を把握することが前提となる。同社の工場では、それぞれのセンサーやカメラから集めたデータを分析し、栽培作物ごとの栽培レシピに基づいて、LED管(赤・青・緑)のオン/オフや光量調整を自動で制御しながら高品質な作物を短期間で育成することを目指して実験を進めている。

 植物工場を支えるのは、照明の自動制御、自動栽培用レシピ管理、栽培履歴情報の収集分析、画像処理を担う4つのシステムで、スタンシステムはこれらのシステムを支えるインフラとしてSoftLayerを選んだ。選定理由は、大量のデータを低コストで活用できること、サービスの可用性・安定性に優れていること、高度なセキュリティ機能を備えていること、IT環境の機能強化や拡張を柔軟かつ迅速に行えることなどを挙げている。

 同社は、工場の運用で得た実績とノウハウをベースに開発したLED植物工場用栽培環境最適化システム「スマートプラント」を提供していく予定。スマートプラントは、栽培情報のビックデータ分析に基づく栽培作物ごとのレシピ開発も含めた、完全制御型植物工場構築・自動運用のための総合サービスとなる。同社は今後、作物を育てる最適な環境の分析にIBMの人工知能「Watson」を採用することも検討している。

Photo 各種センサーからのデータは1分に1回、作物の写真は1時間に1回取得し、アーカイブしている。膨大な量のデータ管理や分析にSoftLayerを利用している

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