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» 2015年08月26日 08時00分 UPDATE

クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方:第1回 そのデータは、50年後も読めますか? (1/2)

爆発的に増えている「デジタルデータ」。これを「いつまで保存するか」を考えたことはありますでしょうか。クラウドに預ければよい? いえいえ、そう簡単ではありません。この観点で考えるストレージ技術や手段の「今」を、最新IT技術を交えながら解説していきます。

[井上陽治(日本ヒューレット・パッカード),ITmedia]

 私が専門とするストレージ技術は、クラウド/IoT時代を迎え大きく役割を変えつつあります。

 様々な「非構造化データ」が無秩序に保存されてゆき、さらにかなり長期に保存する必要が出てきました。実は最新のデータセンターにおいてもデジタルデータの長期保存は大きな課題で、様々な新しい技術、新しい管理方法が考えられてきています。これはごく身近な個人のデータもそうです。スマホで撮った写真や動画、家族とのやりとりや記録、日記的メモやSNSのログなど、これらはいわばライフログ(人生の記録)になりつつある自分だけの大切なデータです。これらを数十年、百年単位で残していくにはどうすればよいのでしょう。

 クラウドに預ければよい? いえいえ、そう簡単ではありません。実はクラウド業者である私たちでも、増え続けるデータの長期保存は実に頭の痛い課題なのです。

 この連載は「そのようなビッグデータ時代に最適なストレージとは何か」がテーマです。今後、トランザクションデータとアーカイブデータの二極化が起こります。特に無秩序に途方もない量のデータが生成されるこれからの時代には、低コスト、低消費電力、高拡張性、高検索性のストレージが求められます。そんな課題の解決方法を、最新IT技術も交えてできるだけ分かりやすく解説していきます。

著者:井上陽治(いのうえ・ようじ)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。



そのデータは、50年後も読めますか?

 先日、昔の写真を整理していたら、出るわ出るわ大量のCD-Rの山。メモやタイトルが手書きされているならばまだしも、何も書いてないとそれに何が入っているかも分かりません。ならば、PCで読めばいいと思ったら「あれっ。ああ、そうか」。わたしのPCには、すでにCD-Rを読めるドライブが搭載されていませんでした。

 技術の進歩は早いものです。あっという間に古いメディアが読めなくなったりする時代です。

photo 家族のデジカメ写真を「50年後も見る」には、果たしてどんな手段があるでしょう……

 皆さんのPCやスマホ、HDDなどにはどれくらいのデータが保存されていますか? ネットで落とせるファイルならばまだしも、写真、動画、音楽といった“これ1つ”しかないプライベートのデータがもし消えてしまったら困ります。また、すぐには見ないけれど捨てられないデータも大量にあると思います。

 写真といえば、私たちが子どもの頃は紙焼きでした。当時、父の子どもの頃、さらに祖父の40年前の写真も見せてもらいました。当時ですでに色あせており、ところどころが破れていましたが、そんなことも覚えているほど記憶が鮮明に残っています。

 これと同じことをデジタル時代の今、私たちの子どもや孫の世代へどう伝えていけばよいのでしょう。デジカメ写真のデータを、3世代・100年ほど保存しておく術はあるのでしょうか。

デジタルメディアには3つの寿命がある

 では「デジタルメディアのまま保存しておけばよいのでは? デジタルデータは劣化しないですし」と思った方、よく考えてみてください。

 カセットテープやVHSビデオテープを2015年現在、再生できる人はどれくらいいるでしょうか?

 フロッピーディスクはどうでしょう。MOやZip、MDはどうでしょう。いずれも30年ほどの間に登場し、衰退したメディア/技術です。

 実は記録メディアには3つの寿命があります。

  • 1つ目はメディア自身
  • 2つ目はそれを読むハードウェア
  • 3つ目はソフトウェア

 です。それぞれの保存期間を改めてまとめると、30年後はおろか、20年後、いや10年後でもデータが読めなくなってしまう可能性があります。

 次ページで表を示します。

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