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» 2015年10月07日 08時00分 UPDATE

税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」:第8回 社員“以外”のマイナンバーをいつ、どのように収集するか (1/2)

中小企業のマイナンバー対応は「士業への委託と連携+できるだけ持たないを考えた実務」がキモになる。8回目は「外注する個人事業主のマイナンバーをどんな方法で集めるか」について解説する。

[中尾健一(アカウンティング・サース・ジャパン),ITmedia]

講師:中尾健一(なかお・けんいち)氏

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アカウンティング・サース・ジャパン株式会社 取締役。1982年日本デジタル研究所(JDL)入社。日本の会計事務所のコンピュータ化を30年以上に渡りソフトウェア企画面から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システムを企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。2015年4月に発足したクラウドマイナンバー事業における「マイナンバーエバンジェリスト」として、中小企業の財務を担う税理士の視点から、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。



 前回は中小企業や税理士事務所が、従業員以外に支払調書関連などで集めなければならないマイナンバーはどのようなものがあるかを確認しました。これらの支払い先となる個人事業主からのマイナンバーの収集は、社外の取引先となりますので、従業員からの収集に比べると手間がかかることが想定されます。

 今回は、これら支払調書関連のマイナンバーをどのようにして収集すればよいかを検討していきましょう。

企業で作成が必要な支払調書とマイナンバーの収集

 前回「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に添付して提出する支払調書にはどのようなものがあるかを解説しました。

 その中でも一般的に多くの企業で作成しなければならない支払調書には、税理士などの士業の方へそれぞれの専門業務を依頼することで発生する報酬の支払いについて作成する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や、事業所などの不動産を借りている場合に作成する「不動産の使用料等の支払調書」があります。

 それぞれの支払い先が法人ならば、法人番号を記載します。法人番号は公開される番号ですので、個人番号のように収集時の本人確認や漏えいリスクへの対応などは考えなくて大丈夫です。しかし、支払い先が個人事業主である場合は、その方の個人番号を提供してもらう必要があります。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の場合

 税理士や弁護士など士業の方へそれぞれの専門業務を依頼し、その報酬の支払いについて「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成する場合、これら士業の方へマイナンバー提供を依頼するところから始めましょう。

 一般に士業の方であればマイナンバー制度への理解も進んでいるはずですので、スムーズにマイナンバーの提供に応じていただけるでしょう。ただし、制度を理解しているだけに、自身のリスク対策として、自分が提供するマイナンバーがどのように取り扱われるのか、安全管理措置はきちんと整っているかなどを尋ねられることがあるかと思います。当然ですが、それに備えて責任者の明確化や、どのような安全管理措置を施した上でマイナンバーを取り扱うようにするかを説明できるようにしておきたいものです。

 特に税理士に顧問を依頼し、年末調整から支払調書など法定調書の作成も依頼している企業の場合は、これに関連するマイナンバー全般の取り扱いも税理士に委託することになりますので、他の士業の方からのマイナンバーの取得についても、提供の依頼から税理士に相談しながら行っていくとよいでしょう。この場合も、マイナンバーを提供する側からは企業および税理士事務所でのマイナンバーの取り扱いについての確認があると思います。税理士事務所としても安全管理措置などきちんと説明できる準備をしておくことが大事です。

 要は、企業(または、その企業に委託を受けてマイナンバーを取り扱う税理士事務所)は、個人事業主を不安にさせない明確かつ適切な説明が望まれるということです。

photo 個人番号の提供を受ける場合の本人確認例 左は対面で行う場合、右はインターネットの専用ページを利用する場合(出典:国税庁資料「国税分野における番号法に基づく本人確認方法(事業者向け)」

 次に、マイナンバー取得時に必要な本人確認(個人番号確認と身元確認)について考察します。その方法は、国税庁が提示している本人確認方法の例「国税分野における番号法に基づく本人確認方法」を満たしていれば問題はありません。多くは「マイナンバー通知カード+運転免許証(または士業の証票)」か「個人番号カード」となります。従業員の場合と異なり、長年の付き合いがある士業の方でも身元確認のための書類の提示は必要です。その点は忘れないように確認してください。

 なお、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、例えば著名人などに原稿や講演を依頼し、その支払額が5万円を越える場合にも作成しなければなりません。これらのケースでは、当の本人が自らのマイナンバーを提供しなければならないことを理解していない可能性も考えましょう。原稿や講演を依頼し、支払い額が5万円を越えることが確実な場合は、その契約時にマイナンバーの提供および提供時に本人確認書類の提示を依頼するなど、早めに説明して早めにマイナンバーを取得しておく対策が必要となるでしょう。

 では、このケースで、マイナンバーをいつ取得すればよいでしょう。

 従業員ならば、通知カードの紛失リスクと、退職などよって2016年(平成28年)中に必要となるケースを想定して、なるべく早く、2015年内にマイナンバーを収集してしまうことを推奨してきました。一方、今回紹介した「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、2016年(平成28年中)に作成することはありません。2016年内に収集すればいいと言えます。

 逆に、原稿料や講演料の支払いで「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成する今回のケースは、“2016年(平成28年)1月以降で、実際に原稿料や講演料を支払うことが決まった時点”からしか取得できません。士業の方で継続的な顧問契約が結ばれている個人事業主の場合は別にして、あらかじめ取得しておけないため、取得のための準備期間が限られる可能性があります。通知カードをすでに紛失した/個人番号カードの交付も受けていないので、自分の個人番号が分からないといった人も中には出てくることでしょう。この場合は、「個人番号が記載された住民票を取得してもらい、番号確認に利用する」方法も想定しておくよいと思います。

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