個人データの移行は? セーフハーバー協定から再考するビッグデータの保管ビッグデータ利活用と問題解決のいま(3/3 ページ)

» 2015年10月15日 08時00分 公開
[笹原英司ITmedia]
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ビッグデータ保管を再考する

 ビッグデータシステムでは指数関数的にデータ容量が増加する中、現場のシステム運用管理者がデータやトランザクションのログを手動で管理し続けるのは困難である。最近は可用性を高め、経費を節減するために自動階層化ストレージシステムが普及し、運用業務も、オンプレミス環境の集中管理からクラウド環境の分散管理を前提としたデータ保管へとシフトしつつある。

 反面、オンプレミス型とクラウド型の混在環境で、ビッグデータストレージの分散配置や自動階層化が進むと、セーフハーバー協定問題の根底にある個人データ保護政策に対応したセキュアなデータ保管はますます難しくなる。サイバー攻撃被害がグローバル化する昨今、個人データに係る記録保存の欠如が原因で、ユーザーとストレージサービスプロバイダー間のデータ保管をめぐる責任分界点が問題化するケースも想定される。


 ビッグデータストレージの保管に関連してCSAのビッグデータワーキンググループ(BDWG)は、セキュリティ/プライバシーにおける脅威として「セキュアなデータ保存とトランザクションのログ」「粒度の高い監査」「データ来歴」の3項目を挙げている。次回は技術的対策の観点から、これらストレージデータの保管に関わる課題について考えてみたい。

著者者紹介:笹原英司(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身、千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所などでビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

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日本クラウドセキュリティアライアンス ビッグデータユーザーワーキンググループ:

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