試験直前の大ピンチ! 「4500時間のプロマネ経験」をどうするか問題女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(2/3 ページ)

» 2015年11月13日 08時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]

 忙しい日は時間もあっという間に過ぎる。気が付けばもう退社時間。何となくすぐ家に帰る気になれなくて、タイムカードを押してからPMI(米国プロジェクトマネジメント協会)のサイトを開いた。週報を利用すれば今回の計画プロセスに利用した時間が把握できるのではないかと、ふっと思ったからだ。とはいえ、このプロジェクトだけではとてもとても4500時間にはならないんだけどね。

 だって、4500時間って言ったら、勤務時間の8時間で割ると562.5日。約563日として1カ月の稼働日数を20日とすれば……28.15カ月……28カ月……2年と4カ月かぁ。不思議なもので、4500時間といわれてもピンとこないけど、2年4カ月の経験、と言われたほうが実感が持てる。ひえ〜。とにかく2年半近くの経験が必要になるのは確かなのよね。

わたし 2年半のプロジェクト経験……。残業時間入れてもそんなたくさんの経験があるわけないよねぇ。

Aさん 残業時間を下手に入れると、審査に引っ掛かるよ。

わたし え? そうなんですか?

 っていうか、この人……じゃない、Aさん、いつも私の独り言に聞き耳立ててるのか? 新手のストーカー?! この登場の仕方やめてほしいわ……。もっとも、おかげで私の心臓も強くなってきたような気もする(慣れただけ?)

Aさん 日本人が審査に引っ掛かる確率が高いのは、まじめにこの残業時間を入れるからだといわれているほどだからね。まぁ、あくまでもうわさだけどね。

わたし そうなんですか……。

Aさん アメリカ人の感覚で申請内容を確認するわけだから、彼らにしてみれば日本人の申請内容は、働きすぎているというより「本当か?」と思ってしまうのだろうね。アメリカ人のエグゼクティブは確かにハードワーカーだけど、その一方でプライベートな時間も大切にするそうだから。

わたし はぁ……。でも、私の場合、残業時間を入れたとしても4500時間ものプロジェクト経験なんてありません。

Aさん そんなことはないだろう?

わたし え?

Aさん 正式に「プロジェクト」と名前が付いていなくても、プロジェクトであるものが多い。それを集めれば4500時間になると思うよ。

あれも、これも、それもプロジェクト!?

Photo イラスト:本橋ゆうこ

 Aさんは、当惑している私を見てさらに続けた。

Aさん 例えば、毎年行っている新入社員研修で君はいつも何をしているかな?

わたし えっと、社内の基幹システムの使い方の説明や当ヘルプデスクの利用方法の説明、あと情報セキュリティ関係のことを講師として話をしていますけど。

Aさん そうだね。そのために研修担当者と打ち合わせをしたり、研修内容を考えたり、教材を作ったりしているよね。毎年のキックオフ会議や人事課の採用に関する説明などは、広い意味では「立上げプロセス」に当たるじゃないか。

わたし おぉ。なるほど! ってことは、研修についての打ち合わせとか、どんな内容の研修にするか考える、なんてのは「計画プロセス」に当たるということでしょうか。

 Aさんはうなずいた。

わたし 講座時間が実施時間になるし、報告書を書いている時間は終結プロセスになる……ってことですよね?

Aさん 1日目の研修が終わって、新入社員の日報を読んで、翌日のスケジュールを手直しするのは「監視・コントロール」に当たるしね。新入社員研修全体は1つのプロジェクトで、君が担当する分野はその中のサブプロジェクトだと考えることもできる。

 なるほどぉ。それは考えつかなかった。とすると、学生の文化祭や体育祭なども、広い意味ではプロジェクトか……

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