今年も日本のITのさまざまな“ここヘン”に光を当てていきたいと思います。そこで今回は2016年の“ここヘン”を大胆に予想してみます。
新年あけましておめでとうございます。本連載の読者は企業の情シス担当者も多いため、ゆっくり休めた方もいらっしゃれば、システムメンテナンスやそれに伴う現場待機などでお疲れの方もいらっしゃるかもしれません。おつかれさまです。
私個人としては、年末に嬉しいニュースが飛び込んできました。読者様アンケート人気1位に続き、「ITmedia エンタープライズ 年間アクセスランキング 2015年版」において、メールに関する日本の“ここ変”を取り上げた第28回が年間アクセス数4位になりました。ありがとうございます!
嬉しかった理由は2つありまして、1つはマイナンバー制度やバージョンアップの概念が一新したWindows 10など、情シスの方にとって興味深い時事ネタと対等に渡り合えたこと。そしてもう1つは、この第28回の掲載日がたまたま私の誕生日だったことです(笑)。
新年第1回である今回は、私自身の実体験・視点から、今年の“傾向”と本連載の抱負をつづっていきたいと思います。
一巡した感もあるので今年はどうなるか分かりませんが、日本のITインフラ周りでここ数年最も飛び交ったキーワードは「クラウド」でしょう。
CIOや情シス部門長など、ユーザー企業のお偉い方同士が集う懇親会では「お宅はクラウド持ってないの?/やってないの?」といった会話が繰り広げられることがあるそうです。まるで、大学生がクルマを自慢するかのように、小学生が新作のテレビゲームソフトを同級生に自慢するかのように―――。もはやクラウドは優良企業としての嗜み、ステイタスの一種になっているのかもしれません。
ITインフラのクラウドコンピューティングとして“ここ変”でまず挙げられるのは、そもそも誤解していること。昨年記事にしたとおり「社内クラウド」「全社クラウド」などと呼ばれるプライベートクラウドを、10年来の単なるサーバ仮想化・共通基盤と誤解していることだと思います。
「あれ、クラウド関連は1個だけ?」と思われたかもしれません。実は、本連載ではクラウドについては少し様子見しています。バズワード過ぎるというか、言葉の定義すら多様で混沌としているためです。
例えば、先ほどの「プライベートクラウド」は、昨年東京で世界的なイベントが開催されたOpenStackソフトウェアなどで作り上げる、オンプレミス上のクラウド基盤のことをイメージする方が多いでしょう。しかしその一方で、パブリッククラウド上にクローズドな1社専用の区画を設け、クラウドコントローラーごと提供するサービスも同じくプライベートクラウドと称されます。
技術的にもビジネス的にも発展途上であるがゆえに、従来の分類に当てはまらない“折衷案”など、今後もさまざまなアイデアが出てくるはず。日本はSIerがパブリックやマネージドクラウド事業を始めるなど、特に多様化しそうです。
これに対し、欧米では純粋なパブリッククラウドは逆に大手数社を残して淘汰が進んでいます。そういえば、私の会社もパブリッククラウドを終了し、得意なプライベートクラウド製品・サービスに注力します。本命と言われるハイブリッドクラウドについては世界2強のAzure・AWSと戦略提携して提供していく方針です。
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