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» 2016年07月19日 12時45分 UPDATE

データで戦う企業のためのIT処方箋:第12回 システムやデータの運用管理を自前でするためにIT部門がすべきこと (1/3)

ユーザー企業にとってITシステムの管理は、本業とは異なる単純な負担と考えられてきました。しかし、クラウド活用の広がりから業務部門も巻き込む新たな役割が期待されています。今回は増大していくITインフラを自社で管理をする際に必要な対策を紹介します。

[森本雅之,ITmedia]

 従来のユーザー企業のIT部門では、ITシステムの企画、設計、構築といった準備より、構築後の運用や保守を確実に行うことが最優先事項でした。ただし運用や保守は定型的な業務が多く、自社の本業とは結びつかないこともあり、特に日本では運用をアウトソーシングすることが多い状況にあります。

 IT部門に求められたのは、確実なシステム運用ですから、業務部門の要望を受けて新しい技術を導入したり、運用やポリシーを変更したりすることに、とても保守的にならざるを得ない状態でした。システムが止まればクレームが来ます。「安定した環境を変更したくない」「変更すれば説明やトレーニングといった作業が負担になる」など、新しい取り組みに効果があると分かっていても、なかなか踏み切れないというジレンマを抱えています。

 結果として、ITシステムをもっと自由に、便利に使いたい業務部門と、より確実に、簡単に提供したいIT部門との間に溝ができてしまいました。その一方、最近ではEコマースやITサービス業界といったITシステムに近しい業界以外でも、IoTやFinTechのように業務でのIT活用が大きな価値を生み出すと期待される状況になっています。

 運用・保守の重要性は依然として高いものですが、クラウドで多様なサービスを簡単に利用できるようになり、IoTのような自社の本業に直結するITの活用手段が生まれたことで、ユーザー企業では本業や業務を理解できるIT専任者、または兼任者が必要になっています。そこで、改めて企業のIT部門がITインフラ全体の調整役として直接管理を行う方式が見直されるようになりました。

 現状では、「持って使う」オンプレミスシステムやプライベートクラウドといったITインフラから、「持たずに使う」パブリッククラウドやマネージドサービスでのITインフラが主流になりつつあります。これらの併用(ハイブリッドクラウド化)にまで対応できるかどうかは、ユーザー企業の人材や対策次第ですが、どちらにしても採用の具体的な検討をためらう理由はもはやありません。

 管理・運用は自社か、社外かの違いはありますが、大きな流れは変わりません。今回は自社内で管理、運用をする方針について説明します。

自社管理はどこから着手する?

 企業では、IT管理者不足が叫ばれています。そのような状況で自社管理を継続する、または管理を外部から取り戻すといった際に、まずは運用効率の向上が必須です。そのためには、各種のIT機器(モノ)やシステム運用などの方式を“近代化”する必要があります。

 「自社で管理する」とは、具体的には設計、管理手法を標準化し、より効率的で生産性の高い環境を用意して、自社で設計、運用管理を継続するという方式になります。

 なお、グループ企業や取引先と密に事業展開している大企業では独自の業務処理などが多く、パッケージ製品やシステムを無改造で利用することが困難です。運用管理を外部委託しづらいことから、自社で管理することが多いでしょうが、所有するITインフラの規模が大きいほど、自分たちで運用管理することによる効率化は図りやすくなります。これについては、次回に説明するアウトソーシングより効率が良い場合があります。

 また、IT管理者のリソースを十分に確保しづらい中堅・中小企業でも、コスト削減を目的とする開発の内製化に合わせて、運用管理も自社方式をとることが考えられます。

 いずれの場合も、IT管理者が不足している状況では、対応力不足を補うか、回避する対策が必要です。

 システム構成の観点では、本連載の第2回第3回で紹介したように、一般的になったサーバ仮想化技術を利用することで、柔軟性をある程度確保できるようになっています。これを基本的な基盤として捉え、中長期に向けた方針に落とし込みます。そのためには、まず現在のIT管理者自身、ユーザー企業の状況を把握し、実業に基づく「業務」そのものと、業務で利用・生成される「データ」そのものに着目します。

 それでは、自社、ユーザー企業の状況把握から整理していきましょう。

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