データが拡散するほど危険になると思いがちなクラウド時代のストレージにおいては、逆にこの状況に合わせた技術の活用で安全になる可能があります。今回はブロックチェーンの特徴からクラウドストレージの技術を解説します。
さて、前回説明したブロックチェーンの特徴を見て、「いったいクラウドストレージと何が違うの?」と思われた方もいるでしょう。今回はその理由を解き明かします。
ブロックチェーンでは、トランザクションを記録する台帳が安全に分散保存され、一部の台帳のデータが改ざんされても、それ以外の台帳と比較することでそのデータが正しいかどうかを確認できるという特徴に触れました。クラウドストレージサービスにも分散ストレージがあります。本連載で何度かに分かって解説してきた「オブジェクトストレージ」です。
ブロックチェーンの分散ストレージとしては、「StorJ」(ストレージと発音)があります。それでは、このStorJとオブジェクトストレージを比較してみましょう。
いずれも低コストが売りです。しかしオブジェクトストレージは、特定の企業内やクラウドサービスの内部に限定されるのに対し、StorJは個人がだれでもストレージ領域を提供でき、誰でもサービスを利用することができます。
そのため、利用できるストレージの容量も、桁違いに大きくなる可能性もあり、コスト面で有利になると考えられます。
オブジェクトストレージの特徴の一つのが「Geo Scale」です。「地球レベルでの分散」とも表現できるでしょう。これは、データを地球上の複数サイトに分散して、大規模な災害やネットワーク障害が発生してもデータが読み出せる仕組みです。同様に一番近いサイトからデータを読み出すこともできるので、読出し速度という意味でも効果的です。
StorJの場合も、同じように世界中に分散してデータを配置できます。さらに特定のベンダーだけの設備だけでなく、StorJに参加してストレージを提供するクライアントの数を考えると、オブジェクトストレージやそれを利用したクラウドサービスと比較して、拡張性が格段に高いといえます。
具体的な数字で見ると、世界中のクライアントのストレージ容量は25万ぺタバイトに達するといわれています。これが全部利用可能なストレージ容量だとすると、世界のクラウドストレージプロバイダートップ5の総容量を全て足しても、20倍以上の開きがあると推定されています。
自分のストレージが他人に使われる?――ちょっと気持ち悪い気もしますが、電力自由化で電気が売れる時代、使わないときのクライアントPCのリソースやストレージを切り売りするというのは、もしかしたら今後一般化してくるのかもしれません。
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