「情報くれくれ君」が導入プロジェクトに失敗する2つの理由DMP成功まで、あと1センチ(4)(1/2 ページ)

「情報を集めるだけ集めて、何も動かなかった」「比較表を作ることが目的になってしまっていた」――。システム導入ではよくある話ですが、DMPも例外ではありません。いつの間にか時間ばかりが過ぎていく、といった状態にハマらないためには?

» 2016年12月27日 08時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 DMPに限らず、あらゆるトレンドはイノベーター理論でいうところの「イノベーター」が率先して実践し、その導入事例がニュースサイトで紹介され、「アーリーアダプター」の目にとまり、次に彼らが実践する……というのが一般的な流れかと思います。

 ですが、イノベーターの目にとまっても、なかなかその先に進まないケースもあります。こんな声を聞いたことがあります。

 どうやら「DMP」がスゴいらしい。情報収集しているサイトでもDMPという単語が飛び交っている。競合もDMPを導入したようだ。もしかしたら、自社のマーケティングをより良くできるかもしれない。早速、情報を集めてみよう!

(後日)

 結局、情報を集めただけで何も変わらなかった。上司からは「せっかく有償のカンファレンスにまで行ったのにね」とイヤミを言われる始末。一体、何を間違ったのでしょう?

単なる「情報収集マニア」で終わらないために

 いろんな情報は集まるけど、集まるだけで前に進まない。進めようとするたびに「この観点で調べた?」「しまった、確認していません。調べてみます」というやりとりが繰り返され、意思決定がのびのびになり、いつの間にか新しいプロダクトが登場する――。DMPに限らずとも、よくある社内風景だと思います。

 「いつの間にか、比較表を作ることが目的になっていた」という声もよく聞きます。あるツールベンダーの担当者は「製品Aを提供している会社からもらった比較表では、この製品のこの機能は“×”と書かれています。これは本当ですか?」と聞かれたので、「はい、使えません。ところで、この機能をお使いになる予定はあるのですか?」と聞き返したところ、担当者が絶句したという話もあるようです。

 ビジネスという性質上、時間と交換してどんな情報を得るか? を考えないと、単なる「情報収集マニア」と呼ばれてしまうのがオチです。そこで、今回はDMPの情報収集のみで終わらせない方法について、お話ししようと思います。

photo ビジネスという性質上、時間と交換してどんな情報を得るか? を考えないと、単なる「情報収集マニア」と呼ばれてしまうのがオチです

情報収集だけで終わってしまう「2つの理由」

 古い話になりますが、共和政ローマ期に活躍したカエサルは、ガリア戦争の経緯を記した「ガリア戦記」の中で次のように述べています。

ほとんどの場合、人間たちは、自分が望んでいることを喜んで信じる

(ガリア戦記第3巻第18節)

 これは、ビジネスマンの情報収集に通じる話ではないでしょうか。DMPに関する情報を満遍なく集めているつもりでも、自分自身で勝手に思い描く枠の範囲にとどまっている可能性があります。これが、情報収集のみで終わってしまう1つ目の理由です。

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