Windows 10は単なるWindows 7の移行先? 真価を問われる2017年Enterprise IT Kaleidoscope(1/4 ページ)

リリースから1年半が経過したWindows 10にとって、Windows 7のサポートが終了する2020年までのこれから3年間は、まさに真価を問われることになるだろう。Microsoftはどんな施策を考えているのか。

» 2017年01月16日 07時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

 Windows 10は、2015年7月末のリリースから1年半が経過した。2016年7月末まで旧バージョンのWindows向けに提供されていた無償アップグレードは、“強制的に”Windows 10へのアップグレードに誘導されるとしていろいろと問題になったが、それも終了した(なお現在も障害者向けの無償アップグレードは提供されている)。

 Microsoftは当初、2018年半ばにWindows 10のインストールベースが全世界で10億台に達すると明言していた。逆に言えば、その目的を達成するために同社はさまざまな施策を打ち、その一つがコンシューマー向けの無償アップグレードだったのだろう。

2015年の開発者向けカンファレンス「Build 2015」では、2018年に10億台のWindows 10デバイスが市場に存在すると、強気の予測を立てていた
Windows 10は1つのコアカーネルが全てのデバイスで動作する。ただし、デバイスによって機能差があった

 しかしこの10億台という当初の目標は、2016年8月のWindows 10 Anniversary Updateのリリース直前に撤回された。同年9月末に開催されたIT管理者向けカンファレンス「Ignite」では、この時点で4億台を超えたと発表されている。Microsoftにとっての誤算は、スマートフォン向けのWindows 10 Mobileが伸びなかったことだろう。それに、PCの出荷台数が頭打ちになっていることも大きな理由だ。

 多くの企業は、2016年後半の時点ではまだWindows 10に移行していない。日本では、2014年4月のWindows XPのサポート終了時にようやくWindows 7への移行を果たしたが、企業の多くは、既存のPCでOSだけを入れ替えるよりも、新しくPCを購入する際にOSも一新することが多い。

 このためWindows 7のサポートが終了する2020年1月に向けて、Windows 10を搭載するPCへの入れ替えが加速していくだろう。企業によっては、Windows XPのサポート終了時に導入したPCのリース契約が2018年〜2019年に終わるため、このタイミングでの切り替えを考えている。2017年は企業ユーザーがWindows 10の導入を検証する期間になるだろう。

 Microsoftにとっては、企業がSA(ソフトウェア アシュアランス)契約などでWindows 7にダウングレードして、新規にPCを導入することが大きな障壁になる。

 ただ、2016年秋にリリースされたIntelの第7世代Coreプロセッサ以降は、Windows 10しかサポートされない(PCベンダーによっては、Windows 7対応のドライバなどをリリースするかもしれないが)。2020年までというWindows 7のサポート期限も考えれば、今さらWindows 7にダウングレードしてPCを導入するというのは、あまり良い手とはいい難い。IT管理者は、つい今のものをそのまま使いたいという安定志向に走りがちだが、Windows 10に関しては割り切って移行すべきだろう。

 2017年はMicrosoftにとって、企業が積極的にWindows 10へ移行するためのモチベーションやメリットを提供していけるかどうかが試される年となる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「Windows 7」サポート終了 対策ナビ

注目のテーマ