また歴史的イベントに幕 変わり続けるMicrosoftが目指す姿Microsoft Focus(1/2 ページ)

Microsoftが、社内総会「MGX」を2017年から廃止し、名称を「Ready」に改め、新たな形で実施することが分かった。その狙いは?

» 2017年06月17日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 Microsoftは、毎年開催していた社員総会「MGX(Microsoft Global Exchange)」を、2017年は行わないことを明らかにした。この一大社内イベントは、名称を「Ready」に改め、新たな形で行うことになる。

 MGXは、Microsoftの全世界の社員を対象に、同社の新年度がスタートする7月の中旬に開催されてきたイベントで、もともとは新年度のキックオフイベントとしてグローバルのセールス、マーケティング部門を中心に社員が参加していた。前年度の実績を振り返るとともに、新年度の事業戦略やビジネスプライオリティを本社の幹部と共有することを目的としていたことから、イベントのホストは、伝統的にセールス、マーケティング、サービス部門を統括する本社の幹部が担当してきた。

 また、前年度に優秀な成績を残した社員や組織、現地子会社の表彰も、MGXの重要なイベントの1つだ。日本マイクロソフトも、2011年度、2012年度、2014年度に「TOP SUB AWARD」(世界ナンバーワン子会社)として表彰されている。

 2016年のMGXには、全世界から1万2000人の社員が参加。日本マイクロソフトからも、平野拓也社長をはじめ、約300人の社員が参加した。実はこのとき既に、MGXは少し姿を変えていた。

Photo マイクロソフト本社のビジターセンター

新体制を強調した「MGX 2016」に変化の兆し

 2016年のMGXは、開催を2週間後に控えた7月7日に、長年COOを務めていたケビン・ターナー氏の突然の退任が発表され、ホスト不在のまま開催されるという異例の事態となった。

 そうした環境でスタートした「MGX 2016」は、オープニングから大きな変化が見られた。

 最初に登壇したのは、米Microsoftのサティア・ナデラCEO。そして、その後ろには、12人のシニアリーダーシップメンバーが並び、ナデラCEOは、「これが新たなMicrosoft。そして、これが新たなMGXである」と宣言。参加した社員たちは、スタンディングオベーションで応じ、大きな拍手と歓声がしばらくの間、鳴りやまなかったという。

 実はこのとき、長年、Microsoftに勤務する社員の間からも、「社内イベントでありながら、シニアリーダーシップメンバーが公の場所で勢ぞろいするシーンは初めてのことではないか」といった声が上がっていた。少なくとも、ナデラ体制になってからは初めてのことだ。

 期間中、シニアリーダーシップのチームメンバーが行ったさまざまなスピーチにも、これまでにはない工夫が見られた。例えば、当時の最新ニュースであった米Facebookの「Office 365導入」について、本来ならばOfficeビジネスの担当役員が説明を行うところだが、このときにはCFOのエイミー・フッド氏が紹介。CFOの立場から、Microsoftの財務指標と連携させながら、この事例を紹介してみせた。「CFOといえどもビジネスに関与している」ということを強調する出来事で、シニアリーダーシップチームの一人ひとりがマーケティングにもセールスにも貢献していることが示されたというわけだ。

 また、「クラウドファースト」を掲げるMicrosoftにとって、“横の連携”が重視されるクラウドビジネスを拡大するためには、「One Microsoft」としての取り組みが不可避であるという姿勢を示したのも、2016年のMGXの特徴であった。

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