Amazonの次はFacebookと――。Microsoftが相次いで“競合と協業”する狙いは。
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
先日、スマートスピーカー(と実質的にはAI)についてのAmazonとMicrosoftの提携について書いたばかりですが、新たにMicrosoftとFacebookがONNX(Open Neural Network Exchange)で提携というニュースが飛び込んできました。
この2つのニュースの共通点は何かというと、どちらもAIに関するライバル企業との提携ということです。IT業界で競合する他社と提携するのはよくあることですが、今回はちょっと珍しいのではないかと思います。ひょっとするとMicrosoftは戦略的なレベルでギアを入れ替えたのかもしれません。
というのも、これは、特定の技術分野において、競合するプレイヤーが極端に少ない中での提携だからです。
提携というと、双方の技術を補完する形で行うのが一般的です。Microsoftは、クラウドへの参入に後れを取った2013年、仇敵Oracleとの提携を発表して世間を驚かせたことがあります。
しかし、この記事をよく読んでみると、AzureのHyper-V上でOracleを動かすということに過ぎません。技術的に何ら新規性はなく、マーケット向けのアドバルーン的な提携です。
しかし、AIについては状況が違います。現在米国でAIをけん引しているのは、Google、IBM、Microsoft、Facebook、Appleといったところでしょう(もちろん、その他大多数の企業も取り組んではいるでしょうが)。この5社は最先端の技術革新にしのぎを削っています。
Microsoftはそのうちの2社と立て続けに提携したわけです。ここまで完全に同じ分野で競合しているライバルと、技術面で提携するというのは珍しいと思います。先のMicrosoftとOracleの例でいえば、「SQL Server」と「Oracle Database」の相互連携とか、新機能の共同開発といったレベルの話です。
ちなみにこの5社は既にAIで提携を発表していますが、これは業界団体的なもので、技術提携とは少し違うと思います。
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