「優秀な若手は5年で必ず現場へ異動」 三井住友カードの情シスキャリアパスがすごいデジタルトランスフォーメーション時代に必要な人材とは?(1/3 ページ)

デジタルトランスフォーメーションを進める人材を社内で育てるのは難しい。しかし、その難題に正面から取り組んでいるのが、カード業界大手の三井住友カードだ。同社では優秀なIT部門の若手を、あえてビジネス部門へ異動させているのだという。

» 2017年11月28日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 既存のビジネスモデルが崩壊し、ビジネスや社会システムがデジタル化していく「デジタルトランスフォーメーション」。今まででは考えられないスピードで、さまざまな業界や分野で変化が起こり、常識が通用しなくなり、変わることができなければ、人も企業も、時代に取り残されてしまう……。

 そんな恐怖を煽るような言葉が飛び交う昨今だが、企業も人も「変わる」というのは想像以上に難しいことだ。未来を予測して、それに合わせたビジネスを作り出す組織にするにはどうすればいいのだろうか。

 カード業界大手の三井住友カードは、その答えを「人」に求めた。同社では、ビジネスとITの双方を理解できる人材を育成しようと、情シス部門にいる優秀な若手を積極的にビジネス部門に排出しているのだという。

photo カード業界大手の三井住友カードは、先進的な人材ローテーションを進めているという

 この人材ローテーションを進めた同社 専務執行役員の森陽一氏はこう話す。「今後、ITのスペシャリストはクラウドに代替されていくでしょう。これからはスペシャリティよりも、デジタル社会の中でテクノロジーが受け入れられる“絵”が描ける、そんなロマンを持ったITアーキテクトが求められているのです」

ソーシャルゲームの普及で、クレジット利用のピーク日が激変

photo 三井住友カード 専務執行役員 システムセキュリティー最高責任者の森陽一氏。11月上旬にガートナーの年次イベント「Gartner Symposium/ITxpo 2017」で講演を行った

 既存のビジネスモデルや環境が大きく変わっているのは、クレジットカード業界も例外ではない。森氏は「加盟店が対面から非対面でのコミュニケーションに変わりつつあること」「決済額が小さくなり、モバイル端末での決済が普及しつつあること」「非構造化データを扱うことが増え、不正アクセスが日常的なものになっていること」などを挙げる。

 中でも森氏が驚いた変化は、1年の中でのクレジットカード利用のピークが大きく変わってきていることだという。

 「昔は年末のボーナスに合わせて、11月16日が毎年トランザクションのピーク日でした。しかし、4年くらい前から大手ECサイトが11月末にセールなどを行うことで、そこにピーク日が移りました。最近では、ソーシャルゲームが新年、つまり1月1日0時に合わせて特別なアイテムを売り出すことで、そこがクレジットカード利用のピークになっている。これは大きな変化です」(森氏)

 そのような「デジタルトランスフォーメーション」の影響が増していく中で、同社のサービス開発体制も変わりつつあると森氏は話す。その代表例がカード利用データ連動サービスの「ココイコ!」だ。

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