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» 2018年04月24日 11時00分 公開

Microsoft Focus:デザインシンキングはB2Bのサービスをどう変えるのか 導入を決めた日本マイクロソフトに聞いてみた (1/2)

日本マイクロソフトがパブリックセクターにデザインシンキングの手法を導入。どんな成果が期待できるのか。

[大河原克行,ITmedia]

 日本マイクロソフトが、デザインシンキングの手法を導入し始めた。

 デザインシンキングとは、デザイナーが持つ顧客視点の発想や考え方、プロセスなどの手法を取り入れて、課題解決や製品作り、企業変革に生かすというものだ。

 もともとスタンフォード大学で研究が進められてきたもので、当初は新たな製品やサービスを生み出すための手法とされていた。だが、スタンフォード大学が「d.school」を設立し、組織心理学などを組み合わせることでデザインシンキングを進化させたことから、この手法を企業変革にも用いることができるようになった。これを、「デザインシンキング2.0」と呼ぶことがある。

 「d.school」の設立に貢献したのが、ハッソ・プラットナー氏。デザインシンキングを早い時期から採用していた1社であるSAPの創業者であり、私財を投じて、d.schoolの設立を支援。この結果、現在、欧米の企業では、新たな製品やサービス作りにデザインシンキングを使うだけでなく、企業変革に用いるケースが増えているという。

 このほど、日本マイクロソフトでも、デザインシンキングの手法を用いることで、新たなサービスやソリューションの創出に加えて、企業風土の変革にも取り組むという。

デザインシンキングでパブリックセクターに変革を

 日本マイクロソフトで、デザインシンキングへの取り組みを最初に開始したのは、政府・自治体、教育、ヘルスケア(医療・製薬)を対象にしたビジネスを行っているパブリックセクターだ。

 2018年4月18日付で、パブリックセクター部門にデザインジャパン推進室を設置。5月から、デザインシンキングアプローチを開始する計画だ。

 コンサルティング、ソリューション提案、マーケティング施策の検討、プロトタイピング、クラウド活用支援、パートナーとの協業、業務シナリオ検討などの機能を統合するとともに、デザインシンキングの手法を用いることで、顧客に対してシームレスなプロセスを提供していくという。

 日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、「デザインシンキングは、人の視点で人の生活の質を高めるためにデジタルを活用し、短期間に実装していく方法論である」と前置きし、「すでに3回にわたってデザインシンキングのトレーニングを行い、専門人材の育成を開始している」と話す。

Photo 日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏

 佐藤氏は、SAPジャパンでバイスプレジデントとして、パートナー本部、公共・公益・通信統括本部長などを務め、そこでデザインシンキングのアプローチを経験している。2018年1月に日本マイクロソフトに入り、パブリックセクター事業本部長に就任。この手法を自らの組織で展開し始めたというわけだ。

 すでにデザインシンキングの手法を用いて「日本の社会のために何ができるのか」といったアイデアを出しており、佐藤氏は、その中から業界別の適用例を示してみせた。

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 例えば政府・自治体では、「マイナンバーを利用した新しいサービス」「事業補助金や研究開発費などを申請しやすいWebサイト」「ライフイベントごとのトータル手続きサービス」「部局をまたぐ情報共有による住民福祉支援」、教育では、「いつでもどこでもできる研究環境」「留学生向け支援サービス」「教職員が効率良く業務を行える校務管理サービス」「海外の生徒たちとつながる共同授業」、ヘルスケアでは「患者さんを待たせない医療サービス」「ICTリテラシーを求めない遠隔診療」「消費者向けマーケティング施策」「産業連携による認知症予防のトータルサービス」などが挙がっている。

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 「公共分野におけるデザインシンキングは、正直なところ、私自身も遠いものであるという印象を持っていた。政策を考える人たちの課題と、それを解決すべきテクノロジーは、隔離されている状況があるのも実態だ」とし、「今回、社内から出てきたアイデアを見ると、短期間で国民の生活を良くできるものが多数ある。イノベーションが起きていないところが、何かに気が付いたときに、パワーを持って加速していく。公共分野のデジタル化はまだ遠い存在であるが、だからこそ最新技術を活用し、課題解決と社会変革につなげることができる」と期待する。

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 今までのプロセスに加えて、デザインシンキングによる最先端の新たなプロセスを導入し、国民の立場に寄り添った社会インフラ改革を推進する姿勢を強調した。

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