アップデートについては、ユーザー企業にもさまざまな課題があります。特に、Feature Update(大型アップデート)のデータ容量に起因する問題は深刻です。アップデートのたびに小さくはなってきているとはいえ、最近の「Fall Creators Update(1709)」でさえ、最大で6.9GBにもなります(32bit版、64bit版で共通)。そうなると、次のようなリスクも出てくるのです。
実際に聞いた話では、データ容量について何も配慮せずに1000台以上のPCのFeature Updateを一斉に行ったところ、ネットワークが落ちてしまった企業もあったそうです。また、「Windows 10搭載のPCを配布したはいいが、ネットワーク帯域が不安でFeature Updateを実施できず、ついにサポート期間を過ぎてしまった」というケースもあったそうです。
サポート期間が過ぎてしまうと、セキュリティパッチ(Quality Update)が提供されなくなります。これは大きなセキュリティリスクです。そのため、アップデートのデータをUSBメモリなどに入れ、ユーザーに配って自分で作業してもらったり、外部の作業員を確保して人海戦術で対応したりといった対応が必要になります。業務に支障を来すだけでなく、コストもかさむので、踏んだり蹴ったりです。
そして、巨大なFeature Updateを適用するには、ストレージに十分な空き容量が必要です。空き容量が足りないとアップデートは失敗します。最近では画像や動画など、ファイルサイズの大きなデータを業務で扱うことも増えてきていることから、ストレージの容量がひっ迫しているユーザーも少なくありません。Feature Updateが適用できるだけの空き容量があるか、管理者が確認する必要が出てくるでしょう。
さまざまな課題はありますが、Microsoftももちろん、さまざまな新技術を提供し、企業のWindows 10運用をサポートしようとしています。今回のケースでは、私たちはクローニングに代わる新技術「プロビジョニングパッケージ」を採用するに至りました。
次回は、このプロビジョニングパッケージを説明するとともに、クローニングとのハイブリッド運用を行う方法などもご紹介します。お楽しみに。
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