たかが3カ月、されど3カ月。「freee」の開発も3カ月がポイントに「3か月」の使い方で人生は変わる(1/2 ページ)

「確実に変化を起こせる最小単位は3カ月」と確信するに至った筆者が生み出した「クラウド会計ソフトfreee」は、Googleで働きながら自力で開発に取り組んだ「3カ月」が出発点となった。

» 2018年07月19日 07時00分 公開
[佐々木大輔ITmedia]

この連載は

 本連載は、freee創業者・代表取締役CEOの佐々木大輔著、書籍『「3か月」の使い方で人生は変わる Googleで学び、シェア1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」』(日本実業出版社刊)から、一部を抜粋、編集しています。

 「何かをつかめる、何かが変わる」そういう感触を得られるのが「3か月」という時間で、そこで「1つのテーマ」に取り組むことを繰り返すことで、誰でもイノベーションを起こせる可能性が開けると、本書で著者は説いています。

 本連載では、そのエッセンスを、7回に渡って紹介します。


■書籍『「3か月」の使い方で人生は変わる』からエッセンスを紹介


「freee」の開発も3カ月がポイントだった

 現在では日本一のシェアを誇る「クラウド会計ソフトfreee」の開発も、3カ月がポイントだった。

 「スモールビジネスに携わる全ての人が創造的な活動にフォーカスできるようにしたい」という「クラウド会計ソフトfreee」のコンセプトは、Googleで働いているときに浮かんだ。

 2008年にGoogleに入社し、僕は日本の中小企業向けにマーケティング業務を担当していたが、その後、アジア地域全体における統括責任者を務めた。その仕事をしながら、日本の中小企業におけるテクノロジーの導入やインターネットの活用が進んでいないことに、強烈に危機感を覚えるようになった。クラウドサービスの利用率も圧倒的に低い状況であったし、それに加えて、日本は他の国と比べて開業率が低いという課題もあった。

 そういったことを目の当たりにするうちに、「テクノロジーの力で、中小企業の経営者を応援する事業がしたい」という気持ちが湧き出て、いても立ってもいられなくなってきたのだ。

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 テクノロジーの中でも、「会計」ソフトに目が向いたのは、Googleに入る前に働いていたマーケティング支援を行うベンチャー企業のALBERT(アルベルト)での経験による。

 僕がそこで最高財務責任者(CFO)を務めていたころ、日々現場から出てくる請求書や領収書などのデータを経理担当者が手入力で打ち込む負担の大きさを痛感したことがあった。そんな経理業務そのものの効率化における課題を、Googleで働いているなかで思い出したのだ。それで、クラウドサービスを利用した自動会計ソフトの構想が頭に浮かんだわけだ。

 「クラウド会計ソフトfreee」のサービスは、僕がこれまでに出会ってきた問題意識や問題の集合体に対して、より本質的なアプローチができる「解」だと思った。その「解」をいかに早くかたちにするかが重要なポイントだった。

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