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» 2000年09月20日 00時00分 UPDATE

PPxPでダイヤルアップをしたい

[木田佳克,ITmedia]

 最近のディストリビューションでは,Red Hatを始め多くのLinuxにはPPPパッケージが含まれている。しかし,ダイヤルアップルータ代わりに利用するようなオンデマンド接続まで手を広げると,設定項目が多くなって比較的分かりづらい。その点,ここで紹介するPPxPは設定が容易であり広くおすすめできる。

 まず最初に,PPxP Downloadページから2つのファイルをダウンロードしよう。

・ppxp-0.99120923.tar.gz
・userlink-0.99a.tar.gz
(2000年9月現在のバージョン)

 適当なユーザーディレクトリ上にコピーして次の手順でインストールを行っていく。

1. userlinkのインストール

$ ls
ppxp-0.99120923.tar.gz userlink-0.99a.tar.gz
$ tar xzfv userlink-0.99a.tar.gz
$ cd userlink-0.99a
$ ./configure
# make;make install
# /sbin/depmod -a
# /sbin/modprobe userlink
# lsmod
Module    Size Used by
userlink   3176  0 (unused) soundcore   2692  0 (autoclean) (unused)
nls_iso8859-1 2240  1 (autoclean)
old_tulip   25496  1 (autoclean)

※rc.localに登録して
マシン起動時にuserlinkが起動されるようにする

# vi /etc/rc.d/rc.local
〜前略〜
  cp -f /etc/issue /etc/issue.net
   echo >> /etc/issue
  fi
/sbin/modprobe userlink  ←追加

2. PPxPのインストール

$ tar xzfv ppxp-0.99120923.tar.gz
$ cd ppxp
$ ./configure
# make;make install
$ which ppxp
/usr/local/bin/ppxp

 インストール後には,上記のようにwhichコマンドで確認してみよう。/usr/local/bin/にインストールされているはずだ。

3. 一般ユーザーでも
PPxPを実行できるようにする

 この段階で,PPxPが利用できるようになっている。しかし,このままではroot権限を持つしかユーザーしか実行できない。そこで,一般ユーザーでも実行可能になるように,あらかじめ登録されている「uucp」グループにユーザー名を追加しよう。

# /usr/sbin/vigr
〜前略〜
wheel:x:10:root
mail:x:12:mail
news:x:13:news
uucp:x:14:uucp,ykida  ←追加する(例:ykida)
〜後略〜

 次に,一般ユーザーでもシリアルポートができるようデバイス関連ファイルのパーミッションを変更する。

※変更前はrootしかアクセスできないようになっている
# ls -l /dev/ttyS*
crw-------  1 root tty  4, 64 May  6  1998 /dev/ttyS0
crw-------  1 root tty  4, 65 May  6  1998 /dev/ttyS1
crw-------  1 root tty  4, 66 May  6  1998 /dev/ttyS2
crw-------  1 root tty  4, 67 May  6  1998 /dev/ttyS3
※パーミッション変更後の状態
# chmod 660 /dev/ttyS*;ls -l /dev/ttyS*
crw-rw----  1 root tty  4, 64 May  6  1998 /dev/ttyS0
crw-rw----  1 root tty  4, 65 May  6  1998 /dev/ttyS1
crw-rw----  1 root tty  4, 66 May  6  1998 /dev/ttyS2
crw-rw----  1 root tty  4, 67 May  6  1998 /dev/ttyS3

4. モデムの認識状態とリンク情報を設定する
 パソコン本体のシリアルポート(COM1)にモデムやTAを接続している場合は,デバイス名は「/dev/ttyS0」になる。COM2の場合は「/dev/ttyS1」だ。

 次のように/dev/modemでアクセスできるようにシンボリックリンクを張ろう。続けて,/dev/ttyS*のグループをrootからuucpに変えておく。

※/dev/modemへのリンクを張る
# ln -sf /dev/ttyS0 /dev/modem;ls -l /dev/modem
lrwxrwxrwx 1 root root 10 Sep 19 23:36 /dev/modem -> /dev/ttyS0
# chgrp uucp /dev/ttyS*;ls -l /dev/ttyS*
crw-rw---- 1 root uucp 4, 64 May 6 1998 /dev/ttyS0
crw-rw---- 1 root uucp 4, 65 May 6 1998 /dev/ttyS1
crw-rw---- 1 root uucp 4, 66 May 6 1998 /dev/ttyS2
crw-rw---- 1 root uucp 4, 67 May 6 1998 /dev/ttyS3

※モデムの認識確認方法
# setserial -g /dev/ttyS0
/dev/ttyS0, UART: 16550A, Port: 0x03f8, IRQ: 4
# cu -l /dev/ttyS0
Connected.
AT
OK
※終了するには,「~.」と入力する。

※一般ユーザーからの書き込みを可能にする
# chmod 775 /var/lock/

5. PPxPを起動してみよう
 ここまででインストールが完了した。早速,グループを登録をした一般ユーザーでPPxPを実行してみよう。次のように表示されれば正常に動作している。もしエラー表示になる場合は,パス指定とuserlinkが組み込まれているかをlsmodコマンドで確認してみよう。

※このように表示されれば正常だ
$ ppxp
PPxP version 0.99120923
interface: ul0
ppxp>

 次にダイヤルアップ先の情報を登録するには,「qdial」と入力する。次のような画面が現れるので,項目ごとに記入していけばよい。

画面
この例ではシェル環境が英語のため日本語表示ではない。この画面では電話番号,ログインネーム,パスワードだけを記入すればよいだろう

画面
More(拡張)を選択して画面を移ると,このような詳細な設定項目が現れる。アイドル時間,resolv.confの作成,DNSサーバの指定は入力したほうがよいだろう。resolv.conf作成を有効にすると,この設定の接続時にだけ次項目のネームサーバを有効にできる

6. 「quit」と「bye」を使い分けよう
 PPxPプロンプト状態から終了するには,「quit」と入力すればよい。この場合にはデーモン自体がメモリから開放されて完全に終了する。回線を接続したままシェルプロンプトに戻るには,「bye」と入力すればよい。

ppxp> quit

 先ほど作成したダイヤルアップ先に接続できるか試してみよう。次の例は,「sb」という名で登録したダイヤルアップ先に接続する例だ。また続けて「set」と入力するとsbで設定したアイドル時間設定などが確認できる。

 確認ができたら,接続するためのコマンド「connect」を入力してみよう。プロンプトがすべて大文字の「PPXP>」と表示されれば,正常に接続されたことを示す。

$ ppxp sb
ppxp> set
ppxp> connect
 64000   ←接続スピードが表示される
PPXP>

 モデムが初期化できないといったエラー表示が出ることもある。このような場合には,モデムの種類設定を確認してみよう。あらかじめTAのAtermや,ダイヤルアップルータのMN128などの製品ごとの設定ファイルが用意されている。

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