ファイアウォール内(LAN)でIPアドレスを使用する場合、一般的にはクラスCアドレス(172.16.0.、192.168.0.など)を割り振る必要がある。このアドレスは、グローバルアドレス同様クライアントごとに重ならない必要があり、静的な指定を行うと人為的な設定ミスが懸念される。
Windows上でDHCPからアドレスを取得設定している例
そこでIPアドレスの割り振りを自動化する手段としてDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サービスが挙げられる。Linux上では、このサービスとしてdhcpdと呼ばれるデーモン(サーバソフト)があり、利用することでアドレスが重なる心配がなくなるばかりか、クライアントを使用するユーザーのネットワーク設定の手間が軽減される。
まず最初に、RPMパッケージが自分の環境でインストールされているかどうかを確認しよう。
# rpm -qa|grep dhcp- # |
パッケージ名が表示されない場合には、CD-ROMを参照するか、rpmfind.netからダウンロードすればよい。
# rpm -Uvh dhcp-3.0pl1-9.i386.rpm |
インストール後は、設定ファイルを用意する必要がある。テンプレートとなるファイルは用意されないため、次を参考にして新規作成しよう。
# vi /etc/dhcpd.conf server-identifier local.net; option domain-name "local.net"; option domain-name-servers 192.168.0.175; shared-network NETVINE { option subnet-mask 255.255.255.0; default-lease-time 21600; max-lease-time 72000; subnet 192.168.0.0 netmask 255.255.255.0 { range 192.168.0.200 192.168.0.254; option broadcast-address 192.168.0.255; } } |
上記設定内で利用環境に依存するのは、黄色文字の個所だ。「server-identifier」「option domain-name」行では適当なLAN内のネーム名を記述し、「option domain-name-servers」行ではDNSサーバのIPアドレスを指定する。
「subnet」行はサブネットの設定、「range」はここでの場合「192.168.0.200〜192.168.0.254」の間のアドレスをDHCPによって自動割り振りするよう設定している。最後の「option broadcast-address」行は、サブネットのアドレス指定から最後の数値を「255」に書き換えればよい。
また、「default-lease-time」および「max-lease-time」行はこのままの値でもよいが、割り振るIPアドレスの利用可能期間を調整したい場合には変更しよう(単位は秒)。
次に、dhcpdによって貸し出されたIPアドレス内容が記述されるファイルを0バイトで作成しておく。dhcpdの起動によって自動作成されないため必要な指定だ。
# touch /etc/dhcpd.leases |
最後に、VPNを除きグローバル(WAN)側に割り振る必要は無いため、ここではLAN側だけに動作するよう設定する(ここでは、eth1がLAN側ポートとしている例)。
# cat /etc/sysconfig/dhcpd DHCPDARGS=eth1 |
ここまでの設定で、次のように指定すればdhcpdが起動するはずだ。
# /etc/rc.d/init.d/dhcpd start dhcpdを起動中: [ OK ] |
サーバの起動時にdhcpdを自動起動させたい場合には、次のように指定すればよい。
# chkconfig dhcpd on # chkconfig --list dhcpd dhcpd 0:off 1:off 2:off 3:on 4:off 5:off 6:off |
DHCPを利用していても、このクライアントだけは動的割り振りではなく特定のものに固定させたいといったケースがある。そのような際には、設定ファイル(/etc/dhcpd.conf)内で次の4行を最後にでも加えよう。
host pc01 { hardware ethernet 00:50:ca:a5:xx:xx; fixed-address 192.168.0.250; } |
ここでのポイントは、MACアドレス(hardware ethernet行)の記述と、割り当てるIPアドレスの指定だ(fixed-address行)。黄色文字の指定が環境に依存するため、設定変更をする必要があるだろう。
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