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» 2008年07月29日 12時00分 UPDATE

現場主導で進める業務改善の手法(3):業務改善の進め方と成功のコツを伝授! (2/3)

[松浦剛志,株式会社プロセス・ラボ]

(2−2)目標設定

 目標設定では、「いつまでに、何を、どのくらい?」改善するのかという目標を、KPIで定量的に設定します。

 このケースでは、申請日数を2週間以内に「1日に縮める」という目標を設定するとしましょう。

(2−3)原因分析

 原因分析では、「なぜ?」「どうして?」を、頻繁に問い直すことで、根本となる問題を探ります。具体的には、業務フローチャート上の対象となる業務プロセスを着眼ポイントを通して、さまざまな切り口から見ていきます。

 このケースでは、情報フローを着眼ポイントを通して見ることにより、実質的には同一の情報を持つ異なる媒体からの「参照・入力」(転記作業)が2回あり、またその媒体が紙であることから、作業のスピードを阻害しているのではないか、という仮説を立てたとしましょう(参考:第2回「業務改善には計る技術とKPIも活用せよ」を参照のこと)。

ALT 図3 媒体として紙を利用しているため、申込書類の受け取りから申請までで、業務プロセスとして参照・入力(転記)が多いことが分かる。(クリックで拡大)

(3)解決策の立案

 次のステップの解決策の立案は、(3−1)改善策立案、(3−2)改善策評価、そして(3−3)実行計画という3つのステップに細分化されます。

(3−1)改善策立案

 改善策立案では、「どういう改善の可能性があるか?」を考えます。業務フローチャートによる現状把握をベースに考えることで、さまざまな可能性を探ることが可能となります。

 このケースでは、転記作業を1回にするために、紙からDBへの転記作業(会員仮登録)の後に、紙から紙への転記作業(稟(りん)議書作成)をDBから紙への出力作業に変えるという改善策を考えてみます。

 ここでは改善策を1つだけ挙げていますが、改善策は1つとは限りません。なるべく複数考えることが必要です。

ALT 図4 図3で分かるように、参照・転記作業が多いことから、紙からDBへの転記作業(会員仮登録)の後に、紙から紙への転記作業(稟(りん)議書作成)をDBから紙への出力作業に変えるという改善策を検討する

(3−2)改善策評価

 改善策評価では、各施策に対して「コストはどれくらい掛かるのか?」「効果はどの程度か?」「対象業務プロセス以外への影響はあるのか? あるとしたらどの程度か?」などを総合的に判断し、実現可能性の高い施策を選ぶ必要があります。

 本ケースでは、稟議書に添付する申込書情報をDBから出力できるようにするためのDB修正コストの算出や、業務フローチャート上で作業の順序を変更した場合の他業務への影響の確認などの作業が想定されます。その結果、そのコストや影響度合い等が申請日数の短縮という目的に対して妥当であると判断されれば、実現可能性が高いといえます。

 もちろん、(3−1)の改善策立案で複数の改善策が挙がっている場合には、それぞれの評価を比較したうえで、コストパフォーマンスの高い施策を選ぶ必要があります。

(3−3)実行計画

 実行計画では、現状の業務プロセスから新しい業務プロセスに移行するステップを考えていきます。その際には、常に「現実的か」を意識し続ける必要があります。

 このケースにおいては、業務プロセスを変更するタイミングは適切か(繁忙期に当たっていないかなど)、それぞれの担当課が新しい業務プロセスを十分に理解する余裕があるか(個別作業レベルで担当者が変更の影響を検討できるかなど)を考える必要があります。

(4)実行

 実行では、実行計画を基に実際に業務改善を行います。

(5)評価

 評価では、改善策を実行した結果、「問題が解決したかどうか?」を、KPIの数値の確認という現状把握を通して行います。

 このケースでは、目標として設定した「申請日数が1営業日」を達成できたかどうかを確認します。

 以上、業務改善の進め方について簡単な具体例を見ながら理解を深めてきましたが、いかがでしたか。

 業務は社内環境、社外環境に対応して常に変化していくものであり、一度問題が解決されれば、それが永続的に最適な業務プロセスになるというものではありません。従って、業務改善の進め方を業務を遂行する現場が理解し、共通認識を持ち、日々の業務の中でこのプロセスを回し続けることが重要なのです。

 なお実際には、

  1. 問題発見
  2. 問題分析{(2−1)問題確認、(2−2)目標設定、(2−3)原因分析}
  3. 解決策立案{(3−1)改善策立案、(3−2)改善策評価、(3−3)実行計画}
  4. 実行
  5. 評価

という順番でステップを踏まないときもあります。

 例えば、(2−3)原因分析の結果や、(3−1)改善策立案の中身によっては、(2−2)目標設定にさかのぼり、目標を再調整することもあります。

 また、(4)実行で想定していなかった新たな問題が発生した場合や、(5)評価で目標が達成できていない場合には、(3−1)改善策立案で挙がった別の改善策を再検討したり、(2−3)原因分析まで戻り、本当の原因が別にある可能性を検討することもあります。

 しかし、基本となる業務改善の進め方は、上に挙げた(1)〜(5)という順番になります。

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