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» 2008年07月29日 12時00分 UPDATE

現場主導で進める業務改善の手法(3):業務改善の進め方と成功のコツを伝授! (3/3)

[松浦剛志,株式会社プロセス・ラボ]
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現場主導の業務改善を成功させるための要諦

 ここまで、見る技術と計る技術に続き、簡単な例を挙げながら、実際の業務改善の進め方について解説をしてきました。

 では、どうすれば、現場で働く人々が自発的に「改善をしたい!」と思い、実際に改善を進めていくことができるようになるのでしょうか。

 部長職や課長職にある現場のリーダーの中には、この問題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

 現場主導で業務改善を行っていくためには、現場において以下の4つの条件が満たされていることが必要です。

  1. 明確なゴールがある
  2. 業務にかかわる共通語がある
  3. 一定の裁量を持っている
  4. 達成の喜びがある

 第1の条件は、業務プロセスを計ることによって、明確なゴールを設定することです。

 そもそも業務改善は、さまざまな変化に対応して、永続的に続く作業ですので、ゴールを定めにくいと思う方がいるかもしれません。それでも小まめに明確なゴールを設定し、目標を持つことが大切です。目標があればこそ、達成感を感じる喜びが生まれてくるからです。

 ゴール設定のポイントとして、よく使われる言葉にSMARTがあります。これは、Specific(具体的)、Measurable(計測可能)、Agreeable(同意できる)、Relevant(関連する)、Time related(時間に関連)という5つのキーワードの頭文字をつなげたものです。

 これは、まさしくKPIそのものといえます。つまり、業務改善における明確なゴール設定とは、KPIを現場と共有するということなのです。

 第2の条件は、業務プロセスを語るための共通語を現場に提供することです。

 複数の人間が共同で何かを進めるためには、意思の疎通を可能にする言語が必要であるということに異論を唱える人はいないでしょう。

 もし、チームで業務プロセスの改善を進めようと思うなら、業務を語るに適した共通語が必要です。

 これまで繰り返し説明してきたように、「見えないものは分からない」のです。例えば「この書類にお客さま情報を転記する作業が」と通常の言葉で話すよりも、図や絵を使って「見える化」を行う方が、ずっと明確で、相互に認識の相違が生じません。この業務を理解するための共通語、それが業務フローチャートです。つまり、業務フローチャートは現場がチームとして業務改善を進めるうえで大切な役割を果たす共通語なのです。

 第3の条件は、現場が自分たちの創意工夫をもって取り組めるように、一定の裁量を与えることです。

 業務改善の進め方がリーダーと現場の間で共有されていれば、リーダーは事細かに指示する必要がなくなります。

 現場に多くを任せる、つまり裁量権を持たせることで、業務を遂行している担当者だからこそ思い付く解決策が提案される可能性もあり、また現場の当事者意識も高まります。

 ここまで説明してきた3つの条件は、まさにこの連載で紹介してきた計る技術、見る技術、そして業務改善の進め方の手法と重なり合うものです。つまり、この手法を現場が身に付けていくこと自体が、現場が自主的に業務改善を進めていく土壌を作り出すことにつながるのです。

 そして第4の条件は、現場のリーダーが、自分のできる範囲で工夫し、達成の喜びを用意することです。

 「認める、褒める」「さらなるチャレンジの機会を与える」「休暇、早帰りを認める」「目標達成パーティを開催する」「褒賞を授与する、報酬を上げる」など、裁量の及ぶ範囲で、できる限り達成の喜びを現場に提供しましょう。

現場主導で業務改善することの大切さ

 これまで3回の連載を通して、「現場主導の業務改善の手法」について解説してきました。

 最後に、私自身がコンサルタントでありながら、業務改善を社外のコンサルタントに一任するのではなく、現場の社員が中心となり「現場主導」で進めることを推奨する理由について、触れておきましょう。

 品質向上(クオリティアップ)、費用低減(コストダウン)、納期短縮(スピードアップ)というアウトプットの改善を現場主導で行うメリットの1つは、外注するよりも「安上がり」であることもありますが、それだけではありません。

 見る技術や計る技術を習得し、現場が一丸となって業務改善に取り組み始めると、「やりがいが出てきて、仕事が楽しくなった」「担当者同士が協力するようになった」「個々の能力が向上してきた」と、皆さん異口同音におっしゃいます。

 個人や組織全体のモチベーションが上がり、最終的に会社の底力が上がっていくこと、それこそが、外部に依頼することでは決して得ることのできない、現場主導の業務改善がもたらす最大のメリットなのです。

 読者の皆さんも職場の仲間と共に、本連載で紹介した手法を利用しながら、業務改善に取り組んでいただければうれしい限りです。なお、本連載の内容についての問い合わせは、プロセス・ラボのWebサイトでも受け付けています。

筆者プロフィール

松浦 剛志(まつうら たけし)

株式会社プロセス・ラボ 代表取締役

京都大学経済学部卒。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)審査部にて企業再建を担当。その後、グロービス(ビジネス教育、ベンチャー・キャピタル、人材事業)にてグループ全体の管理業務、アントレピア(ベンチャー・キャピタル)にて投資先子会社の業務プロセス設計・モニタリング業務に従事する。

2002年、人事、会計、総務を中心とする管理業務のコンサルティングとアウトソースを提供する会社、ウィルミッツを創業。2006年、業務プロセス・コンサルティング機能をウィルミッツから分社化し、プロセス・ラボを創業。プロセス・ラボでは、業務現場・コンサルティング・アウトソースのそれぞれの経験を通して培った、業務プロセスを理解・改善する実践的な手法を開発し、研修・コンサルティングを提供している。


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