ビジネスアナリシスをマネジメントしようBABOK 2.0を読んでみよう(4)(2/3 ページ)

» 2010年04月13日 12時00分 公開
[堀江 弘志(豆蔵),@IT]

ビジネスアナリシスのタスクを計画する

 ビジネスアナリシスへのアプローチが決まったら、ビジネスアナリシスの詳細計画を作成します。「ビジネスアナリシスのアクティビティを計画する」タスクを見ていきましょう。

図3:「ビジネスアナリシスのアクティビティを計画する」タスクのイメージ 図3:「ビジネスアナリシスのアクティビティを計画する」タスクのイメージ

 このタスクでは、以下の3つの作業を実施します。

●ビジネスアナリシスの成果物を識別する

  • AsIs/ToBeのビジネスプロセスモデルやユースケースなどの要求文書、インタビューの質問、会議の議事録など

●ビジネスアナリシスのアクティビティと実施時期を決定する

  • 成果物を完成させるために必要なアクティビティと、それを分解したタスクをWBS(Work Breakdown Structure)により階層構造で表す
  • アクティビティやタスクの前後関係を識別する(BABOKではアクティビティをさらに分解したものをタスクと呼んでいます)

・プロジェクトにおける重大なイベントをマイルストーンとして定義し、各アクティビティの実施時期を決定する

●ビジネスアナリシスの作業を見積もる

 計画は、インクリメンタルまたはローリングウェーブに基づいて、概要レベルの長期計画と、短期的なアクティビティの詳細計画を分けて立て、変化に対する柔軟な対応を行う方法が有効です。

コミュニケーションと要求管理の方法を計画する

 ビジネスアナリシスの詳細計画が決まったら、「ビジネスアナリシスのコミュニケーションを計画する」と「要求マネジメントプロセスを計画する」タスクを実施します。

図4:「ビジネスアナリシスのコミュニケーションを計画する」と「要求マネジメントプロセスを計画する」のイメージ 図4:「ビジネスアナリシスのコミュニケーションを計画する」と「要求マネジメントプロセスを計画する」のイメージ

 コミュニケーションの計画では、ステークホルダーの分析で識別されたリストを基に、ミーティング、ウォークスルー、そのほかのコミュニケーション手段を用いて、ステークホルダーからの情報を受領し、配布を実現する最良の方法を決定します。

 具体的には、以下の内容を考慮して決定します。

  • 伝達する情報の種類、伝達方法、受け手の特定、タイミング
  • コミュニケーションの頻度、公式度
  • ステークホルダーの物理的所在地や時間帯などの制約

 次に、要求マネジメントの計画では、マネジメント対象となる要求の属性、要求の優先順位付け、要求のトレーサビリティの構造化、変更に対する分析、承認、実装のプロセスについて計画します。

 要求の属性とは、要求の担当者、インターフェイスやリソースの数から示される複雑性、優先順位、要求にかかわるリスク、緊急性などです。

 要求の優先順位付けでは、要求のリスク、必要とするコスト、要求が生み出す利益などを基に、どの要求を最初に検討するかを決定します。

 変更管理プロセスでは、変更のコストや時間によって必要とする承認レベルの決定、変更を承認するステークホルダーの決定、影響分析の担当者の決定、変更要求の文書(変更依頼書など)の定義などを実施します。

 このように、あらかじめ、コミュニケーションや要求マネジメントについて計画し、文書化しておくことで、ビジネスアナリシスの活動で発生する混乱を最小限に抑えることが可能となります。

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