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タカラ、IPv6対応“糸電話”を年内発売IPv6ビジネスサミット 2004

» 2004年02月16日 19時52分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 玩具メーカーのタカラは、年内にも「IP糸テレフォン」を発売する。糸電話といえば、紙コップと紙コップの間を糸で結び、離れた場所まで声が届くという玩具だが、タカラの糸電話は、糸の代わりにIPv6インターネットを使う。

photo 2月16日の「IPv6ビジネスサミット」で初披露した「IP糸テレフォン」

 イーサネットポートが付いた受話器は、2つでワンセット。両方がIPv6ネットワークに繋がってさえいれば、受話器を上げるだけで相手につながる手軽さが特徴だ。「糸電話ですから」(タカラ)。

 着信すると、呼び出し音とともに受話器のLEDが点滅する。また、受話器の内側にあるボタンを押すと、呼び出し中に相手側の受話器につないだ玩具が動き出すという“遊び心”も備えた。これは、受話器のシリアルポートを介してオン・オフ信号を伝送する仕組みを利用したもの。展示では、同社の「歌犬物語」を改造したものが、着信音の代わりに鳴き声のコーラスを奏でていた。

photo 受話器の内側にあるボタンを押すと、呼び出し中に相手側の受話器につないだ玩具が動き出す
photo 「歌犬物語」は、息を吹きかけると犬が歌い出す“癒し犬フィギュア”(1680円で発売中)。これを改造し、シリアルポートを付けたものを受話器につないでいた。ちなみに、歌犬物語は最大5匹(?)まで連結可能で、つなげるとコーラスを楽しめる

 タカラがIPv6を採用とした理由は明快だ。それは、標準的にグローバルアドレスを取得できるIPv6なら、“NAT越え”の問題が発生しないこと。複雑なネットワーク設定は、タカラが想定するユーザー層には適さず、なにより「サポートが大変」(同社)。IPアドレスやファイアウォールの設定を省略できるIPv6だからこそ、“糸電話”感覚のIP電話を実現できたという。

 ただし、IP糸テレフォンは、IPv6アドレスを直接電話番号にしているわけではない。NTTコミュニケーションズが提供するm2m-xプロトコルをサポートしており、発信時には同社のサーバが仲介して通話先を特定。その後は、受話器同士が直接音声データをやり取りする形になる。

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 なお、通信はIPSecにより暗号化されるため、恥ずかしい話や甘えた声でも安心だ。家の中なら内線電話、遠距離恋愛中は2人を結ぶホットライン、さらに田舎の祖父母に小遣いをねだる孫専用電話回線など、用途の幅はかなり広そうだ。

 タカラでは、IPv6の普及状況を見ながら、IP糸テレフォンの年内発売を目指すという。「価格は未定だが、イメージとしては、2つで1万円を切る程度にしたい」(同社)。

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