「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」――“金田バイク”が参考出展
2019年のネオ東京を舞台にしたアニメ映画「AKIRA」。その近未来的演出に一役買ったのは、主人公・金田正太郎が操る真っ赤なバイク「金田SPECIAL」だ。
この“金田バイク”の完全実動車が、4月2日からビッグサイトで開催されている二輪車の展示会「東京モーターサイクルショー」で参考出展されている。
金田バイクに“よく似た”カスタムバイクが、消費者リクエスト型受注生産ショッピングサイト「たのみこむ」で発売されているケースはあるが、これはあくまで非公認のもの。だが今回参考出展されたコンセプトモデルは、AKIRA作者の大友克洋氏や出版元である講談社などの了承を得た“公認・金田バイク”となっている。
オフィシャルバイクだけに、その作り込みには数多くの“こだわり”がある。
やはりまず注目したいのはその魅力的なスタイリング。ボディを覆う外装(カウル)は劇場版「AKIRA」に登場する金田バイクのデザインを忠実に再現したもので、空気抵抗が少なそうな流線型フォルムが近未来的な雰囲気を演出している。クロモリ鋼を使ったフレームは完全オリジナル製作のものだ。
もっとも、単にスタイリングだけを模した1/1スケールのモックアップならすぐに作れる。だがこのバイクのすごいところは「実際に公道走行が可能な点」。バイクとしての基本動力性能を犠牲にせず、“完全な実動車”を目指しているのだ。
だが劇中での金田バイクの仕様は「セラミック製ツインローターを使った両輪駆動(ABS付き)」。前後の車輪が独立して駆動するため、両輪がハの字に開いてホイールベースが非常に長いものとなり、現在主流のバイクのハンドリング/足回り機構をそのまま流用すると、とてもまともに走ることはできない。
そのため今回のコンセプトモデルでは、後方操舵が可能なテレスコピックフォーク採用のツインステア操舵システム「ロッドエンド式ツインステアリングシステム」という独自のハンドリング機構を開発。また、可変スライド式アジャスターを組み込んだ3本チェーン/6枚スプロケット仕様のドライブ機構も備えた。これらシステムはゼロから興したものが多く、実用新案や特許のカタマリになっているという。
エンジンはさすがに電動モーターというわけにはいかず、ガソリンを使った市販バイクの最新水冷4サイクルエンジンを採用。排気量は249~998ccまでの単気筒から4気筒までのエンジンを搭載可能で、オーナーの好みに合わせてチョイスできるセミオーダー方式になっている。
コックピットにはDVDナビゲーションシステムが装備され、特徴的なトラックボール/テンキーも再現。スピード/バッテリー/タコメーターはLEDで表示され、そのための制御用コンピュータも搭載する専用設計になっている。
この“金田バイク”のプロジェクトを立案したのは、NEO-FUKUOKA氏(仮名)という個人のユーザー。「AKIRAに出てくる金田のバイクにいつか乗ってみたい」という思いから、NEO氏は構想から7年以上をかけて全国のバイクショップやカスタムビルダーを訪ね歩き、ようやく開発にこぎつけたという、1ユーザーの情熱から生まれた夢のモーターサイクルなのだ。金田バイクの開発ストーリーは、バイク新車/中古車情報誌「バイクブロス」で2004年3月号から連載がスタートしている。
今後のスケジュール(製品化や価格)などは一切明かされていなく、情報開示もバイクブロス誌でのみ行われているという状況だが、このようなムーブメントは、昔ライダー&AKIRA好きの筆者は歓迎したい。
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