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著作権法改正――「原案通り可決」の可能性高まる輸入CDは買えなくなるのか

» 2004年06月01日 21時59分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 現在、国会で審議されているCDの輸入を規制する著作権法改正案だが、参議院を通過した法案が衆議院でもそのまま可決される可能性が高まった。

 関係者によると、最短では6月2日の文部科学委員会で可決された後、6月3日の本会議で可決される可能性が強いという。民主党からは、附則の追加を求める修正案が提出される予定ではあるものの、与党および一部野党は原案のままでの採決を望むと見られている。

 6月1日には、日本レコード協会会長/エイベックス代表取締役会長兼社長の依田巽氏、音楽評論家の高橋健太郎氏、GERA Japan 国際レコード小売協会 日本支部世話人/HMVジャパン代表取締役社長のポール・デゼルスキー氏らを招いての参考人質疑が行われている。

 質疑では、高橋氏から「趣旨と法案に開きがあり、施行後に問題を引き起こす可能性がある。そのためには一度廃案にし、再度そうした措置が必要と考えるならば、幅広い討議を行うべき」と慎重な判断を求める意見が示されたほか、デゼルスキー氏からも、「還流防止については、(還流CDが)日本音楽に悪影響を与えかねないということで認める」「(法案が)輸入CDに影響を与えないという100%の保証を求める」「詳細な実務方法の説明を求める」と法案の趣旨そのものには賛成するものの、現在の法案および運用に対しての懸念が表明された。

 また、川内代議士からは、これまでレコード協会などが繰り返している主張は明文化された根拠がなく、将来的な保証はないという指摘もなされた。

 これらの指摘に対して依田氏は、「(CDの輸入が阻害されるような事態は)まず起こらないだろうと申し上げる」と文部科学大臣・文化庁と同趣旨の発言を繰り返し、将来的な保証についても、「理事会の総意として今回の措置を進めており、議事録という形で提出もされている」と主張するに留まった。

 提出が予定されている修正案は、「政府は法律施行後も状況を勘案し、必要がある場合には検討および必要な措置を講ずること」という内容で、輸入権を行使しようとする側への抑止力にもなりうる。

 「かなり難しい状況にあるが、ぎりぎりまで努力する」。川内代議士はそうコメントしている。

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