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“睡眠”の悩みを解決〜「suimin'ROOM」へ行ってきました(1/3 ページ)

» 2004年06月15日 00時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 多くの人が抱えている“睡眠”にまつわる悩み。「寝付きが悪い」「眠りが浅い」「寝起きが悪い」など人それぞれだが、前日の疲れがとれないと翌日にまで影響するからやっかいだ。しかし、世の中を見回してみても、なかなか相談できる場所は見つからない。病院へ行くほどでもないが、できれば専門家に相談してみたいと考えている人は多いことだろう。

 松下電工が東京・汐留のショウルームに開設した「suimin'ROOM」は、“快眠セラピスト”三橋美穂氏の指導の下で養成された専門アドバイザー「快眠コンシェルジュ」が、良質な眠りを得るためのアドバイスを提示してくれるというユニークな施設だ。さらに、“理想的な睡眠空間”で、実際に快適な眠りを体験できるという。早速、オープン間もない「suimin'ROOM」を訪ねた。

photo 松下電工の汐留ショウルームにある「ダイナミックライフコーナー」。この奥に「suimin'ROOM」がある

アナタの常識、間違っていませんか?

 取材に応じてくれたのは、松下電工電器R&Dセンター副参事の塀内隆博氏だ。

photo 松下電工電器R&Dセンター副参事の塀内隆博氏。「松下電工は、メーカーなのに20年もの間、睡眠について研究してきた“変”な会社なんです」

 堀内氏は、「suimin'ROOM」を有料カウンセリング施設にした背景として、眠りに関する誤った情報が広まっている状況を挙げる。「最近は、テレビや雑誌でも睡眠に関する情報を多く扱っていますが、なかには間違った形で“常識”になっているものもあります」(同氏)。

 たとえば、よく言われる“睡眠周期”(sleep cycle)の話。人は一晩にレム睡眠とノンレム睡眠を90分単位で繰り返しているため、ちょうどレム睡眠にあたる時間に起きれば寝覚めがいいというものだ。確かに、理屈としては正しいが、実際にはそれほど単純なものではない。

 「確かに、動物なら睡眠周期は一定ですが、人間の場合は70〜120分という幅があります。たとえば、『毎日(ちょうど周期にあたる)6時間で起きているのに寝覚めが悪い』という人がいますが、それは睡眠周期に合っていないためでしょう」。

 テレビや雑誌で聞きかじった中途半端な知識が固定観念を生み、いつまでも悩みを解決できない。そんな“耳年増”な人が増えている。「でも、皆さんも困っていなければ勉強はしないはず。それだけ眠りに関する悩みを抱えている人は多い」。

 そんな眠りに関する悩みを探るため、松下電工は国立精神・神経センター精神保健研究所の白川修一郎医学博士と共同開発した「眠り相談ソフト」をWebサイトで公開している。いくつかの質問に答えると「眠りの健康度」(眠りの実態)を判定し、質の良い眠りを得るためのアドバイスを提供してくれるというもの。データ収集に合意すれば、利用は無料だ。

photo 「眠り相談ソフト」の画面。suimin'ROOMのカウンセリングもこのソフトをベースにして行われる

 眠り相談ソフトにより、同社は眠りに関する悩みをリアルタイムに集計できるようになった。「睡眠に対する満足度を100点満点で判定したとき、60点あたりを境に不満が増えてくることがわかりました。これを性別でみると、男性よりも女性のほうが悩みを抱えている人が平均10%程度は多い。“睡眠弱者”といってもいいかもしれません」。

 一方、世代別に集計すると、意外にも若い人のほうが悩みを抱えているケースが多いという。とくに20代では「寝起きが悪い」を中心に、実に50%以上の人が不満を持っている。歳が上になるにつれて比率は下がり、一番少ない50代は20%強。しかし50代を過ぎると、今度は「寝起き」に関する悩みが増え、再び30%を超える。よく「年寄りは朝が早い」などといわれるが、それを裏付けるデータが出ているわけだ。

 「ただ、悩みが多いことがわかっても、対応を考え、適切なアドバイスをもらえる場所が世の中にあるか? といえばない。それがsuimin'ROOMを設置した一番の理由です」(同氏)。

ほぼ100%? 誰もが寝てしまう「suimin'ROOM」

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