コラム
» 2004年06月17日 09時23分 UPDATE

CHEMISTRYライブの“完全生中継”に見る、デジタルWOWOWのチャレンジ (1/2)

薄型デジタルテレビは好調に売れているが、地上波デジタルが見られる地域は今のところ少ない。デジタル化で先行したWOWOWにとっては、今が加入者増に向けたチャンスであり、実際、デジタル放送ならではの魅力をアピールしている。さて、その評価というと……。

[西正,ITmedia]

今がチャンスのBSデジタル陣営?

 プラズマテレビや液晶テレビといった薄型のデジタルテレビが好調に売れており、この夏のボーナス商戦でも目玉商品として注目されている。薄型デジタルテレビには、地上波デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルの三波のチューナーがすべて組み込まれている。

 ただ、肝心の地上波デジタル放送は、関東、中部、近畿の三大広域圏の一部で放送されているだけで、その他の地域では視聴できない。それでも、薄型テレビ自体は全国的に売れていることから見ると、消費者にとっての購入の動機付けは、地上波デジタルではなく、そのデザインの良さや、大画面でも場所を取らない、といった点にあるようだ。

 地上波放送のデジタル化により、いずれテレビを買い替えなければならない。それならば、今のうちに買い替えておき、地上波デジタルについては「見られるようになったときに見られればいい」――それが消費者一般の考え方のようである。

 とは言え、薄型のデジタルテレビは決して安いとは言えない買い物だ。買った人も、“何らかのメリット”を確認したいという気持ちになっていることは間違いないだろう。そうした“ニーズ”に応えることで、視聴者数を増やすチャンスとしたいのが、BSデジタル放送陣営、とりわけデジタル加入者数を伸ばしたいWOWOWということになるだろう。

 実際、昨今のWOWOWのコンテンツ戦略を見ると、明らかにそれを意識していることが伺える。もちろん、それは手探りしながらのチャレンジであり、改善すべき点もいずれ明らかになってくるはずだ。しかし、その検証も含めて、さらなるチャレンジを続けていけば、そのコンテンツ戦略は必ず奏功し、他の放送事業者に一歩先んじることに成功するに違いないと筆者は見ている。

WOWOWのコンテンツ戦略

 ではWOWWOWのチャレンジとは何か。その点をもう少し細かく見ていこう。

 デジタル放送の魅力をピーアールするとなれば、当然ながら、鮮明なハイビジョン(以下、HD)映像と、リアルな5.1chサラウンドによる音声を提供する、ということになるだろう。実際、最近のWOWOWのコンテンツの中では、それを前面に打ち出したものが多くなっている。

 中でも、新たな試みとして注目されたのが、6月最初の日曜夜に行われた、CHEMISTRYのライブコンサート放送だった。これは6月6日午後5時半から午後9時まで、国立代々木競技場第一体育館で行われたコンサートを、HD&5.1chサラウンドの迫力ある映像で完全生中継したものだった。

 WOWOWとしてもこれは初の試みだったが、そのセールスポイントとしてうたわれたのは、より立体感のあふれる映像と音で、まるで会場にいるような一体感を楽しめるというものだった。総合エンターテインメントチャンネルであるWOWOWだからこそできたチャレンジであり、その成果を踏まえて、今後色々なコンサートの生中継を行うようになっていけば、WOWOWにとっても新たな目玉商品となりえるだろう。

 WOWOWの場合、6月の目玉番組として、サッカーの国際的なイベントである「EURO2004」の全試合放送がある。実際、それを目当てにサッカーファンが新規加入してくるケースが相次いでいるようだ。そうした好環境の中でのチャレンジだったことも注目できるだろう。HD&5.1サラウンドを生かすジャンルは、なにも音楽だけに限ったものではないからだ。

 とは言え、CHEMISTRYのライブの生中継から得られた教訓のようなものを指摘してみることにしたい。

臨場感ということの意味

 HD&5.1サラウンドによる番組では、「臨場感あふれる」という修飾語がつけられることが多い。音楽ライブの生中継であれば、まさにポイントとなるのは臨場感の有無だろう。

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