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ビジネスとして走り出したソニーの「イメージステーション」、だが……(1/3 ページ)

» 2004年07月08日 11時27分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 IT系ニュースメディアではほとんど取り上げられなかったが、去る7月1日、ソニーの「イメージステーション」がリニューアルオープンした。今回のリニューアルで、かねてからのアナウンスどおり、無料では静止画50枚、動画50Mバイトで30日という“制限付きの画像ストレージサイト”として生まれ変わったのである。

 以前のイメージステーションは、画像ストレージサイトという色彩が強かった一方、写真を作品として一般公開できるなど、コミュニケーションサイトとしての性格も強かった。ただこのことは、結果として「このサイトはよーするに一体なんなのか」ということを分かりにくくしていたことも、また事実であった。

 リニューアルしたイメージステーションは、サイトデザインも非常にシンプルで、「このサイトはよーするにプリントサービスなのです」ということが分かりやすくなっている。しかし以前からのオンラインアルバム機能は、機能的にはほぼ同じものを残している。例えば招待状を送信して、プライベートなアルバムに招待するといった機能だ。

 画像のアップロードは、以前ならばまとめてアップロード中に途中で止まったりと、無料だからしょうがなく我慢していたという程度の出来であったが、、有料サイトとしてリニューアル後はまったく問題なく、転送も安定している。

 ただ、やはり以前の「何かがありそう」なワクワク感は、リニューアル後のページからは減少しているのは残念だ。

有料化のきっかけは何か

 筆者は以前からイメージステーションを利用しており、有料化に向かう際に、その思いの丈をコラムに書いたことがある。その流れで先日、ソニーにもこの件で取材することができた。

 昨年8月よりイメージステーションを指揮している、PSBGネットワークサービスセンター イメージングサービス部統括部長の森原潤也氏に、有料化に至るプロセスについての疑問をぶつけてみた。

 「有料化に際して、ソニースタイルがギブアップした、というご推測は事実と違っていまして、イメージステーションはもともとソニースタイルだけでやっていたわけではないんですね。そもそもサーバはソニー本体が持っていて、マーケティングやカスタマーサービスをソニーマーケティングがやるという、分業体制であったわけです」(森原氏)

 「そして去年8月に、イメージステーションを持っていたハードウェアのグループから、ネットワークサービスをやる専門の部隊に、管理を移管したんですね。そのときソニースタイルとの話の中で、その部隊で一括してビジネスをやる、ということになったんです。もちろん今でも、ソニースタイルのルートでもお客様にリリースを出したり、So-netからリンクを張ったりということをやっています」(同)

 今回のリニューアルで、物理的にサーバの場所も変更し、システムも新しく作り直したという。有料化や容量制限以外にも、使い勝手を一新したかったという事情がそこにはある。だが無料・無制限という点もまた、負担になったのではないだろうか?

 「無料時代のサーバ容量が問題になった、ということでもないんですね。それよりむしろ、管理面での負担のほうが大きかった。今までギャラリーという形で写真を一般公開できる機能がありましたので、コンテンツのパトロールなども行なわなければならなかったわけです。やはり健全な運営をしなければならないということで……。これが単にアーカイブを預かるだけのストレージサービスであれば、そういう問題もなかったわけですが」(森原氏)

 今回のリニューアルを前に、既存ユーザーにはいったんコンテンツを引き上げるベシ、という措置が取られた。物理的なサーバの移動以外に、いったんユーザーのコンテンツをリセットしたいという狙いもあったようだ。

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