コラム
» 2004年09月06日 09時43分 UPDATE

ユーザーの“ものぐさ”が変える「監視カメラ」の世界 (1/3)

監視カメラというとものものしいイメージで、子どもやペットなどの様子を離れたところからチェックするといった用途が現時点ではせいぜいソフトな使い方だろう。だが今後は、“ものぐさ”をキーワードに、ユーザー主導でさらにソフトな使われ方が普及していくのではないだろうか、と筆者は見ている。

[小寺信良,ITmedia]

 ここ数年来、セキュリティに関する意識が急速に高まっている。情報の安全、物品の安全、財産の安全、生命の安全など、現代人には守るべきものが多い。ITに関係するものとしては、さまざまなフィルタリング機能によってその安全が図られているが、盗難や生命の安全といった面では、監視カメラの役割は非常に大きくなっている。

 銀行やコンビニなどお金を扱う場所では当然のこと、普通の店舗やビルのロビー、最近では官公庁や学校、個人経営の駐車場や夜間は無人となる倉庫などにも導入が進みつつあるようだ。

 だがそんないかついイメージの監視カメラにも、ソフトなイメージのものが現われてきた。またユーザーの用途にも、変化が表れている。今回はそんな話をお送りしよう。

ITで変わる

 防犯でもっとも効果的なのは、その場に警備員を配置することだろう。だがその代わりにいかつい監視カメラの存在がほぼ同じ役割を果たすというのは、人間の行動心理という面でも興味深い。このような犯罪抑制効果の裏側には、監視カメラで撮られていることで、犯罪を犯してもすぐに捕まってしまう、という事実がある。つまり防犯と犯人検挙という二つの側面が、常に表裏一体の関係にあるわけだ。

 監視カメラ業界にも、IT化の波は容赦なく訪れている。従来の監視カメラは、言ってみればビデオカメラであり、アナログのAVケーブルをバックヤードのモニタやビデオデッキまで引き回していた。だが数年前から現われた「IPカメラ」は、映像の伝送をネットワークを介してストリーミングで行なう。カメラ本体にネットワーク端子が付いており、内部的にサーバ機能を持っている。DHCPに対応しており、ルータがある環境なら、LANのケーブルにプチッとさすだけですぐ使える手軽さだ。

 監視映像は、PCからブラウザでカメラのIPを叩けば、カメラが内部に持っている専用ページが表示され、そこに映像のストリームが表示されるといった仕組みだ。こういった方法ならば、わざわざ工事屋さんを頼まなくても、自分たちで設置できる。あるいは従来ならばとても線を引っ張っていけない、とんでもない遠くからのモニタリングも可能になってくる。遠距離のインフラは、インターネットを利用すればいいからだ。

 一般にわれわれが想像する監視カメラのイメージは、ほとんどが四角くで頑丈で、赤いLEDが光り、レンズがズンと飛び出しているようなスタイルだ。むろんガチンコにシビアな状況で使用するにはそのような姿カタチになるわけだが、最近ではもっとスマートで、人に威圧感を与えないスタイルのカメラが現われてきた。一つの例として、ソニーが8月2日に発売したネットワークカメラ、「SNC-P1」をモデルに考えてみよう。

photo ソニーのネットワークカメラ「SNC-P1」

 一見するとはんぺんのようにも見えるうすべったいカタチで、従来の威圧的な意味合いの監視カメラというイメージはまったくない、非常に軽いテイストだ。価格も希望小売価格で6万8250円と、従来10万円以上した監視カメラよりも、かなり低価格である。

 監視カメラがこのようなカタチに変化してきたのは、IP化によって監視カメラの用途が、従来のものとは変わってきたからだ。

 このカメラの商品企画を担当した、ソニー ブロードバンドコミュニケーションカンパニー イメージセンシング事業部の三浦博揮氏は、われわれも監視カメラの先行メーカーというわけではないんですが、と前置きしながら、この製品が生まれた背景をこう語ってくれた。

 「この製品はピュアなセキュリティというよりも、ちょっと現場の状態が見たいといった、いわゆるモニタリングという用途にと考えてます。店舗でお客さんの入りを見るとか、従業員の接客マナーを確認するとか、倉庫の在庫を見るといった、比較的ライトな用途ですね」

jn_p1030418.jpg 「SNC-P1」の製品企画を担当した三浦 博揮氏

「ものぐさ」が生むカメラの使い道

 もちろんすべてのIPカメラがこのようなスタイルというわけではなく、シビアな状況の監視カメラというのも製品ラインナップには存在する。

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