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» 2004年09月07日 22時53分 UPDATE

輸入CD規制問題はいま、どうなっている?――公取委で懇談会 (1/2)

輸入権が立法化されたことで、来年1月からCDの輸入に規制がかけられることになった。輸入権に加え再販制度もある日本で、二つの保護制度の存立が、消費者にどのような影響を与えるのか。公取委がこの問題について初めての懇談会を開催した。

[渡邊宏,ITmedia]

 公正取引委員会は9月7日、来年1月から導入される“音楽CDの還流防止措置”が、再販価格維持制度がすでに存在している日本市場で、どのような影響を及ぼすのかを考える懇談会を開催した。

 会合に参加したのは学識経験者のほか、音楽著作権団体や小売店団体、消費者団体からの代表など。加えて、HMVジャパン社長のポール・デゼルスキー氏や、キャスターのピーター・バラカン氏が参加し、「再販制度のある市場に輸入権を創設したこととその影響」について意見を交わした。

photo 懇談会は公開のもと行われ、20名以上の傍聴者が席を連ねた

再販制度+輸入権は消費者保護の観点から問題――公正取引委員会

 冒頭、あいさつに立った山木康考氏(公正取引委員会 事務総局経済取引局取引部長)は、「再販制度があるなかで、輸入権(還流防止措置)が創設されたことは、消費者利益の観点からみると非常に憂慮するべき問題」と述べ、公正取引委員会としては、CD価格の2重保護につながりかねない還流防止措置の導入に懸念を抱いていることを表明した。

 ただ、還流防止措置の前提となる著作権法の一部改正案は既に国会を通過しており、来年1月の導入がこれから覆ることはない。山木氏は「(すでに)導入が決定した以上、導入後の動向を見守って行かなくてはならない。(ただその場合)どういった視点から観察していくべきかを議論する必要があると考え、今回の懇談会を催した。再販制度のあるべき姿を含め、議論していただければと思う」と開催の狙いを語った。

 その後、座長を務める落合誠一氏(東京大学大学院教授)が「“還流問題をどう考えるか”“再販問題をどう考えるか”の2点がある。まずは問題を二つに分けて議論していきたい」と議論をスタートさせた。

輸入権の導入は文化交流促進という観点からも必要だ――日本レコード商業組合

 「理解いただきたいのは、還流防止措置は、(日本)文化の国際競争力を高め、(海外との)交流を高めるために有効な手段であろうという考えが根底にあることだ」(矢嶋靖夫氏 日本レコード商業組合理事長)

 「(内外で価格差を設けることは)物価水準の異なる海外において、適正な価格で品物の提供をするために必要な手段。その価格差を悪用されないために諸外国でも輸入権が形成されており、日本でも欠かせないものだ。法律の根本に触れられていない意見が出ることを寂しく思う」(同氏)

 矢嶋氏は、加えて、内外価格差の目安として取り上げられることの多い、各国のAmazonにおけるCD価格データについても意見を述べた。

 「クリック数を拡大するため、赤字覚悟のビジネスを展開していたことがある企業だ。Amazonは、CDを利益をあげるための商材として使っていないと私たちは認識している」

再販制度そのものに反対――日本消費者連盟

 水原博子氏(日本消費者連盟事務局長)は消費者団体の代表として、輸入権はもちろん、再販制度にも反対の姿勢を示す。

 「多くの商品が自由競争になっている世の中で、その原点をゆがめる元として、再販制度にも還流防止措置にも反対する」「再販制度の対象外となる製品が発売されたり、組み合わせ商品が多く登場していることは(CD+DVDのセット商品は再販制度の対象にならない)、再販制度がすでに崩れていることを表しているのではないか」

 「消費者は“自由に選択して、安価に買える”ことを求めている。組み合わせ商品などの提供は、自由な選択権を侵害するものであると考える」(水原氏)

 この意見には矢嶋氏が大きな反発を示し、「ポイントサービスなど、多種多彩なサービスは弾力的な運用をするべきという当局の期待に応えているだけ。レコード店は追い込まれている。再販で決められた価格だけで販売できるならそうしたい」と販売不振に苦しむ一般のレコード店の真情を吐露した場面も見られた。

 また、関根啓子氏(全国消費者団体連絡会消費者関連法担当)は、「既に“Not Importable Japan」と明記されたCDが登場しており、(輸入権の)施行前だといっても影響が出ていないわけではない」と発言。輸入権の目的や理念はとにかく、きちんと情報を収集する仕組みを早急に構築する必要があると訴えた。

 参加者のなかで唯一、特定団体に所属しないピーター・バラカン氏は、「還流防止措置は既に決定してしまったことで、今後どうなるかは分からない。ただ、再販制度との2重保護になること間違いない」と両制度の両立は問題であるとの見解を示した。

法的には価格維持効果の強化につながる―― 一橋大学・岡田教授

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