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» 2004年11月09日 05時39分 UPDATE

特集:私的複製はどこへいく?対談 小寺信良×津田大介(3)――コンテンツ業界は今、なにをするべきか (1/3)

音楽産業を語るとき、なぜか「レコード会社 対 消費者」という構図ばかりがクローズアップされ、実際の著作権者がほったらかしになっているという現状がある。コンテンツ業界はその上、消費者の“気持ち”にもあまりに鈍感だ。彼らは今何を考え、どう行動すべきなのだろうか?

[渡邊宏,ITmedia]

なぜ、レコード会社の声ばかりが大きい?

津田:今、音楽産業を語るときにクローズアップされがちなのって「レコード会社 VS 音楽ファン」っていう視点ですよね。もちろんこれは重要なポイントのですが、個人的にはその中で音楽を作っている肝心のアーティストのことがあまりにもほったらかしになってるんじゃないかと思います。

 確かにここまで「音楽産業」を大きくしたのはレコード会社でしょう。でも、それは、いい音楽を作るアーティストがいるという大前提あっての話。球界再編の話じゃないですけれど、ナベツネさんの「たかが選手」という発言は本音かもしれませんし、一面の真実は表してはいると思います。ですが、絶対に言ってはいけないことだったんじゃないかと。レコード会社の経営陣も「本音の部分ではそういう意識なんだろ」と音楽ファンから思われかねない態度、言動をしてますよね。

 ただ、そうした経営者側の発言に対して、ユーザー側の方が「じゃあ野球見ない」「じゃあ音楽聞かない」と反応してしまうのは、それはそれでスマートさに欠けるんじゃないかと思います。

小寺:それにレコード会社が持っているのは、あくまでも著作隣接権であって、本当の権利者に、レコード会社の主張するような配分が行われているのかは不透明じゃないですか。

津田:本来は音楽そのものを一から創るアーティストが一番偉いはずなのに、周りにいる人たちの声の方ががなぜか大きい。アーティスト本人は「少しぐらいコピーされても多くの人に聴いてもらいたい」と思っていても、周りがそれを許さないという状況がある。不健全というか、ゆがんでますよね。

小寺:僕は、著作隣接権しか持っていないレコード会社が、いかにも自分たちがアーティストであるかのように振る舞っているように思えて仕方ないんです。

津田:確かに、社内にプロデューサーがいて、原盤権も持っているレコード会社ならば、レコード制作という意味では「クリエイター」になると思います。ですが、音楽事務所が100%原盤権を持っていて、それを単純に販売させてもらっているレコード会社は、もはや「配給会社」に過ぎないんですよ。それがあたかもアーティストであるかのように、発言するのは何を言っているんだと思いますね。

小寺:その物言いに腹が立つんだよね(笑)。その面での意識のすれ違いというものはどうしてもある。

――一部のアーティストは自身のBBSなどで「CCCDに反対」であるとか、「コピーして楽しんでもらうことは構わない」という趣旨の発言をする人もいるようです。

津田:アーティストの意識は本当にバラバラですよ。この期に及んでCCCDが何か知らない人もいれば、CCCDであろうが気にしない人、かたやメンバー間でCCCDで自分の作品をリリースすることについて真剣に議論した結果、解散寸前までいったグループもあります。

 本来音楽とはまったく関係ないことでアーティストが悩んでしまい、創作意欲が削がれてしまう……そんな事態が生まれること自体が不幸ですし、そういう意味でもCCCDの罪は重いと思いますね。

現場の人はみんなCCCDに反対している

――音楽業界内部の方は、現状をどう考えていらっしゃるんでしょうか?

津田:CCCDに関してはいえば、なんでやってるのかなぁと疑問に感じているヒトは多いと思います。現場レベルで言えばみんな反対している……反対はしないまでも導入する意味がないと思っている人が多いのが現状ですが、上が決めたことには従わないと……という空気はあるみたいですね。

小寺:反対している原因は、やはり音質ですか?

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