コラム
» 2004年11月09日 19時47分 UPDATE

被災者を支える、地元ケーブルテレビの死闘 (前編) (2/4)

[小寺信良,ITmedia]

 約5時間半かけて、午前11時半に長岡市に入った。最初の揺れからほぼ2週間、幹線道路の亀裂は既に補修が進み、街は一見平穏そうに見える。だが土曜日だというのに、道路幅の割にはあきらかに車の数が少ないように思える。また歩行者をほとんど見かけないのは、なんだか奇異な感じがする。

jn_p1000086.jpg 5日午前11時半頃の長岡市内

 いやいや、街によっては普段からそんな状態のところもある。これも現地の普段の状況を知らずに伝えてしまうと、マスコミ報道と同じことになってしまう。

 局に着いて、現場の指揮を執る同社の村山専務から、状況を聴く。氏は前職がスーパーマーケットのマネージャーだったという、元「スーパーマン」だ。そのバツグンの営業センスを発揮し、地元スーパーと連動したコマーシャルや番組作りで、ケーブルテレビの中でも収益率は悪くない。それにもまして、社員全員の接客応対がきれいにそろっているのも、同氏の指導によるものだろう。

jn_p1000089.jpg NCT社屋は、JR長岡駅からそう遠くない場所に位置している
jn_p1000139.jpg 専務室がNCT内での対策本部だ。常にこのドアは開けられている
jn_p1000095.jpg 最初の地震で落ちて壊れた専務室の時計。思い出して頑張るために、修理せずそのままにしている

 ここでは今でも震度5クラスの余震も続いており、とにかく毎日刻々と変化する状況を告知するのでいっぱいいっぱいで、地震発生から今まで取材した分を、誰もまとめることができないのだという。まずはそこから手を付けていくことにした。

編集室を作る

 使っていないスタジオに会議テーブルを並べ、編集ブースを設置する。NCTにも編集卓はいくつかある。だが今は番組送出卓が壊れてしまったため、編集卓を使って手動で放送を出しているので足りないというわけだった。

jn_p1000104.jpg 撮影スタジオ内に簡易編集ブースを構築

 放送というのは、機材も人材も、なかなか普通のボランティアでは援助することができない。NCTでは3年ほど前に、取材方式をベータカムからDVCAMに乗り換えている。その関係から、震災直後にはソニーマーケティングからいち早く、取材用ラージテープ30本と、簡易編集セットとしてDVCAMデッキが2台送られてきたという。

 人材は、新潟市のケーブルテレビ局「チューリップテレビ」をはじめ、隣県局からも応援が駆けつけている。またケーブルテレビの放送研修を行なっているNHK放送研修センターからも、テープと人材がボランティアで駆けつけている。

 ただケーブルテレビ特有の問題として、全部が均等にできるスタッフは多いのだが、編集専門のスタッフが少ない。また機材もカメラなどは元々どっかへ持っていくためのものであるから、運ぶのは慣れているが、編集機はそうそう取り外して運べるようなものでもない。

 長野県松本市に開発拠点を持つローランド イーディー(株)からは、同社のノンリニア編集システム「DV-7DL Pro」一式を3セット車に積んで、8日月曜日に同局にやってくる。

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