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東芝、片岡氏に聞く――「RD-H1」登場の経緯と戦略インタビュー(2/4 ページ)

» 2005年03月14日 12時18分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 「RDシリーズはHDDビデオレコーダーを基本に、バックアップ装置としてDVDドライブを付けて、それが広義の意味でのDVDレコーダーとして認知されてきたわけです。でも、使い勝手はHDDビデオレコーダーであることを中心に考えています。たとえば録画番組一覧(見るナビ)を開くと、前回再生した番組にフォーカスして一覧表示されます。多くの人は、録画した順番で再生もしますから、この方が再生したい番組を探しやすいはずです。

 これは100番組を超えるような録画をすることを前提にしているし、実際現在のRDシリーズなら100番組を余裕で録画できる機種もあります。録画番組一覧を開くたびに、一覧の先頭から番組を選ぶのは、たまらないですよね。

 DVDは規格上、レジュームポイントがメディア1枚に1箇所しか設定できません。だからDVDビデオレコーダーからHDD+DVDビデオレコーダーに発展した製品では、タイトル毎レジュームができない製品も多かったし、今でも他社製品の中にはそうしたものもあります。さらにいえば、録画番組の一覧も常に先頭からしか表示されなかったりで、大量の番組を録画できるビデオレコーダーとしては“これでいいのかな?”と思ってしまう」。

――なるほど、RDシリーズの根っこがHDDビデオレコーダーで、それゆえの使い勝手を実現しているということですね。ではRD-H1という製品を、このタイミングで投入する意図は何なのでしょうか。

 「現在、単体DVDレコーダーのシェアはもう3%程度で、2004年の年末商戦では80%位がHDD+DVDレコーダー、残りがVHSも搭載したハイブリッドですが、VHS+DVDの2in1は収束に向かいつつあって、人気はVHS+HDD+DVDの“3 in 1”です。これが何を示すかといえば、デジタルビデオレコーダーの記録媒体のHDDが主役だということなんですよ。

 とにかくHDDを搭載しているレコーダーが90%を超えて、これならようやく主役だけで勝負できる製品が受け入れられるかな、と。もちろん、かつてのHDDビデオレコーダーと違い、ネット de ダビングというバックアップ手段が確保できる点も大きいです」。

――HDDの低価格化が進んで、HDDビデオレコーダーに低価格で大容量HDDを搭載できるようになったことも大きいですよね。

 「もちろん価格面も大きいですね。今なら250Gバイトの大容量HDDを搭載しても、この価格で出せる。250Gバイトの容量があれば、どんどん録って、見て、気に入った番組はHDDに残す、そういう使い方なら、簡単にHDDが満杯になってしまうこともない。初めてのデジタルビデオレコーダーとしてRD-H1を購入しても、そう困る局面にはならないはずです」。

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――やはり価格面で魅力のある製品にできた点は大きいですよね。ではインターネットによるメーカー直販に限定したのはどのような理由でしょう?

 「店頭ではコンセプトが伝わりにくく、DVDドライブがないというだけで見向きもされない可能性があります。そこで、インターネット販売なら宣伝費用などのリスクも抑えられますし、実験的な意味もあります。予約である程度需要も見えますし、店頭で売れ残って叩き売りされるような事態は避けられます。少なくとも現状ではテレビ宣伝を行えるような規模で売る製品ではないので、雑誌とかWeb媒体さんとか、露出はとても重要なんですよ」。

――より手軽なデジタルビデオレコーダーという位置付けもありますが、やはりネット de ダビングを活用するための製品という狙いもありますか?

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