「まず、大成功を収めているDVDプラットフォームの上に作った規格という点。0.6ミリカバー層のディスクは、耐久性や信頼性が高いことが既に証明されています。また、製造性〜つまりディスクの作りやすさの面でもHD DVDの方が優れているでしょう。
BDとHD DVDは、ほとんどの要素において共通あるいは互角です。しかしHD DVDは、未来の技術など使わなくとも、今すぐに安価に入手できる技術です。しかも、製造する側から見ても作りやすく高品質、高耐久性を実現できます」。
――言い換えれば、BDにはそうした部分が不足していたということでしょうか?
「BDはカバー層が0.1ミリと非常に薄く、実際に消費者の利用形態の中で耐えられるかどうか確認できませんした。BDを支持するメーカーは、TDKのハードコートを施せばキズは付かないと説明しましたが、指紋に対しては弱いと考えています。指紋を拭き取ればいいと言いますが、それを消費者に強制できるでしょうか? 決して良いことではありません。
指紋は一例でしかありません。ユーザーは本当に驚くような過酷な使い方をする場合があります。あらゆる場面において、高い信頼性が得られるのか。その証明がBDではなされていませんでした」。
筆者注:指紋付着時の読み取りに関してはBD側も拭き取らずに読めるよう信号処理が改善されているとアナウンスしている
――ではなぜ今、結論を出す必要があったのでしょう。製造性に関しても、信頼性に関しても、これから次世代光ディスク市場を実際に立ち上げるまでの間、いくらでも改善のチャンスはあるでしょう。
「二つのフォーマットでパッケージソフトが登場し、市場が混乱する前にきちんと態度を明らかにする必要があると判断しました。消費者、家電メーカー、そしてコンテンツベンダーにとってベストなのは、フォーマットが一つになることです。しかし、それが不可能なのであれば、自ら選んだ規格を早めに支持する方がいいと考えました」。
――パッケージソフトがすぐには投入できない段階で、どちらかに決める必要があったのでしょうか?
「われわれは2年間待ちました。その間、家電ベンダーの間で話し合い、両陣営が歩み寄るのがベストと考えていましたが、何ら進捗はありませんでした。BD陣営は、われわれが決断を下すまでに、2層ディスクを安価に製造できることを証明できませんでした」。
「こうしてわれわれが待っている間に、市場は大きく動いています。HDコンテンツを再生可能なテレビの数は、予想を上回るペースで増加しています。2005年の終わりまでに、北米におけるHDTVの世帯普及率は10%に達するでしょう。また北米のDVD市場は金額ベースで飽和しつつあります。その中で30Gバイトと25Gバイトのディスク、しかも製造性が良い30Gバイトのディスクがある。理由はひとつではなく複合的なものですが、総合的に判断してHD DVDを選んでいます」。
――統一フォーマットへこれから歩み寄ることは可能だと思いますか?
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