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» 2005年04月28日 19時45分 UPDATE

「iPodからも金を取れ」――私的録音補償金で権利者団体が意見書 (2/2)

[渡邊宏,ITmedia]
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“補償金制度”の抱える問題とは?

 補償金制度とは著作権法第30条の2に根拠をもつ制度で、デジタル方式の録音・録画機器および記録メディアを用いた私的な録音・録画に関して、著作権者が補償金を受ける権利を有する。平成4年から導入されており、現在は指定された種類の機器やメディアが、同制度で定められた補償金を上乗せした価格で販売されている。

 現在その対象となっているのはDAT/DCC/MD/CD-R/CD-RW/DVCR/D-VHS/DVD-RW/DVD-RAMの各メディアおよび対応機器。補償金の金額は基準価格(カタログに表示された標準価格の65%、メディアについては50%)の1%〜3%となっており、その補償金は関係団体を通じて制作者へ分配される仕組みとなっている。

 提出された複数の意見書でも指摘されているように、普及の著しいHDDタイプの機器とメディア(HDD本体)は対象になっておらず、BDやフラッシュメモリも対象になっていない(HD DVDについてはDVD-R/RWと互換性があることから現行制度上でも対象になると言う見解がある)。つまり、同じ音楽や映像を私的録音録画するにもかかわらず、メディアや機器によって補償金が発生する・発生しないという現状は問題だといえる。

 また、対象機器の指定については「磁気的かつ光学的方式により、44.1キロヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた音を直径が64ミリメートルの光磁気ディスクで固定する機能を有する機器」など、要件ではなく技術で定められているのだが、これは政令で指定されているため柔軟性に欠け、最新技術を導入した機器やメディアに素早く対応できていないという問題もある。

 同委員会で主査を務める東京大学教授の中山信弘氏は「徴収と分配の公正さが必要だ」と制度の基本姿勢を確認するが、補償金の分配についても「権利者へきちんと分配されているのか」という根本的な問題が存在している。

 委員会の席上で日本記録メディア工業会が「返還すべき金額が小さく、(連絡用のハガキ代や振り込み費用を考えると)返還するだけで赤字になってしてしまうこともあり、死文化している側面は否めない」と発言し、制度の目的自体が果たされていないことも明らかにされた。

補填を求める権利者団体、慎重姿勢を崩さない委員――議論は長期化か

 日本音楽著作権協会らが提出した資料によれば、補償金の金額は平成12年度の3億8440万円をピークに減少路線にあり、平成15年度は2億2214万円にまで落ち込んでいる。これはiPodやHDDレコーダーを始めとした、同制度の対象とならない製品の成長時期とオーバーラップする。

 「CDをMDにダビングするのも、CDをiPodにダビングするのも同じ行為のはず。早急な対応が必要と考える」「音楽や映像をコピーする方法も機械も増えているのに、徴収される補償金の金額は低下傾向にある。その補填を求めたい」

 権利者団体側ではこのような主張を繰り返し、現行制度の対象拡大を求める。しかし、委員からは「基本的な議論を深める必要がある。早急な結論に飛びつくわけにはいかない」、「iPodについては現行法での対応が可能かと思うが、著作権法第30条の規定を含めて本当に補償金制度が必要なのか、議論が必要ではないか」「レンタルという制度も含めて本格的な議論が必要だ」などと慎重な意見が相次いだ。

 「CD-MDのダビングは対象だが、CD-iPodは対象にならないなど、不公平さがあることは確か。制度そのものを含めた慎重な議論が必要だろう」。主査の中山氏はそう述べて今回の委員会を終了させた。なお、次回の法制問題小委員会は5月27日に行われる予定となっている。

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